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うつ病リスクを下げる! 気分を安定させる4つの方法

うつ病は脳内の特定の神経伝達物質の不足と密接に関連しています。心理的な影響を超えて、うつ病は身体的健康にも大きな影響を与え、女性における腫瘍や乳がんのリスクを高める可能性があります。

台湾のロイヤルジェイド伝統中国医学クリニックの院長であるユー・ヤウウェン氏は、幸福感を促進するためには4つの重要な要素があると述べました。また、うつ病を和らげるために胸を開くストレッチや運動を行うことを勧めました。

女性にとってのうつ病の課題

世界保健機関(WHO)によると、21世紀の人間の健康における最大の脅威はうつ病であるとしています。特にCOVID-19パンデミックの最初の年には、世界中でうつ病や不安障害の有病率が25%増加しました。

うつ病は全世界に患者がいますが、医療界はその正確な原因を完全には解明していません。しかし遺伝、脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンを含む)の不均衡、ストレス、心理的要因、ホルモンの影響など、いくつかの可能性のある原因が特定されています。

世界保健機関(WHO)によると、うつ病の発症率は男性よりも女性の方が約50%高いとされています。その主な原因は、重要なライフステージにおける女性ホルモンの大きな変動によるものです。ユー氏によれば、女性の人生においてホルモンの変動に影響されやすい3つの時期は、思春期(ホルモンが活性化し始める時期)、妊娠前後、そして更年期です。これらの時期には、ホルモンの変化によりセロトニンやドーパミンの減少が引き起こされることがあります。さらに、睡眠不足や家庭事情などの要因も、女性がうつ病を発症する可能性を高めるとされています。

ユー氏は、妊娠可能年齢から更年期の間に、ホルモンの不均衡に関連するさまざまなサイズの腫瘍が発生する女性が増加していると述べています。調査によると、台湾の35~45歳の女性の間で、子宮筋腫(子宮の壁にできる良性の腫瘍)の発症率は約20~40%であるとされています。これは、5人に1人か2人の女性が影響を受けていることを意味します。子宮筋腫に加えて、乳腺組織における良性腫瘍の発生率も増加しています。

 

ホルモンの不均衡と伝統中国医学(TCM)の役割

ホルモンの不均衡は、仕事のストレスや日常生活のプレッシャー、長期間の精神的ストレス、睡眠不足、アンバランスな食事、またはダイエットによる極端な体重減少など、多くの要因と関連しています。これらすべてが内分泌系の正常な機能を乱し、ホルモンの不均衡を引き起こす可能性があります。

ユー氏は、女性の月経周期が不規則な場合—例えば、周期が早すぎる、または遅すぎる場合—それがホルモン系に由来する不均衡を示している可能性があると述べています。ホルモン系には視床下部、下垂体、卵巣が含まれます。視床下部と下垂体からの指令のバランスが崩れると、卵巣からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌に影響を与えることになります。

さらに、このようなホルモンの不均衡が、気の停滞や血の瘀血といった問題によって悪化することがあります。気や瘀血などは中国伝統医学(TCM)で使われる用語です。気の停滞は体内のエネルギーの流れが乱れている状態を指し、血の瘀血は血液の循環不良によって血液が滞ることを意味します。もしこの滞りが体の特定の部分に長期間蓄積されると、細胞が変性し、いくつかの新生物が形成されることがあります。良性腫瘍は命にかかわらないかもしれませんが、体からの警告信号と考えられています。

中国伝統医学(TCM)によれば、人間の体には「経絡」システムがあり、これが気と血を体全体に運ぶ役割を果たしています。気と血は、生命を構成し、人間の生理的活動を維持する基本的な物質です。気は体内で生命活動に必要な「エネルギー」や「力」とされ、血は体内の「栄養素」としてしばしば言及されます。

「気滞血瘀」とは、気滞と血瘀が同時に存在する病的な状態を指します。様々な不快感は通常、気の循環が悪くなることから始まり、それが血液の滞りを引き起こします。

ユー氏は、若くして乳がんと診断される女性がますます増えていることを指摘しました。この傾向の要因を詳しく分析すると、多くの患者が心理的な問題を抱えており、それが肝臓や心臓の気の滞りを引き起こしていることが予想できます。長期的な気滞と血瘀は、東洋医学で「上焦」と呼ばれる心臓と肺が位置する領域に障害を引き起こし、乳腺組織がその問題の影響を最も強く受けることになります。

「肝気滞」と「心気滞」は、いずれも肝臓の気の調節機能の不調と、気の通りが悪くなることによって引き起こされる問題を指します。これらは感情やストレスと密接に関連しています。

 

重要な4つの要素

ユ-氏は、身体のバランスを取り戻し、ストレスへの耐性を高め、環境への適応力を改善するために、4つの重要な領域に取り組むことを推奨しました。

●良い睡眠

睡眠の質は身体のバランスに影響を与える最も重要な要素です。ユー氏は、睡眠時間の長さよりも、適切な時間に寝ることが重要だと強調しました。胆経は午後11時から午前1時まで、肝経は午前1時から3時まで働きます。肝臓と胆嚢はホルモン調整において重要な役割を果たしており、女性は肝気滞になりやすいため、良い睡眠は身体のバランスを取り戻すために不可欠です。

東洋医学の理論によれば、人体のエネルギーは内臓から経絡を通じて全身に流れています。12本の経絡はそれぞれ12の内臓に対応しており、異なる内臓や経絡は異なる時間帯に活動します。そのため特に午後11時までに就寝することが重要です。
 

●バランスの取れた食事

古代中国の医学書『黄帝内経』には、「五穀は滋養、五果は補薬、五畜は利養、五菜は補食」と記されています。
これは、穀物が人々の生存の基盤であり、果物、肉類、野菜はすべて主食を補助したり、利益をもたらしたり、栄養を補ったりする役割を果たすことを意味します。穀物、果物、肉類、野菜のいずれも、ひとつに偏ることなく、バランスよく摂取することが大切です。バランスの取れた食事こそが、身体の栄養的なニーズを満たすことができます。
 

●健康的な脂肪

高品質な脂質は脳の健康に欠かせません。ナッツや魚などの食材から十分な量を摂取することは、健康な神経機能をサポートし、セロトニンの生成を助けます。
 

●定期的な運動

運動は、脳内のエンドルフィン濃度を素早く増加させる効果的な方法です。年齢を重ねるにつれて、脳内のエンドルフィン濃度は徐々に減少しますが、運動は脳内の血管を拡張させ、幸せホルモンの生成を促進し、心血管の健康にも貢献します。
運動はまた、血液循環がスムーズに行われることで酸素が脳に届きやすくなります。健康的な食事と組み合わせることで、脳内の血管の健康を守ることができます。

 

胸を広げるストレッチによりリラクゼーションを促進

心理的な健康と身体的な健康を改善する効果的な方法の一つは、胸を広げるストレッチやエクササイズです。

東洋医学では、「心は感情を司る」とされています。したがって、経絡の滞りを解消するエクササイズ、例えば胸を広げたりストレッチをしたりする運動は、抑うつ症状の緩和に役立ちます。

1本の経路は、心臓から肺を通り、脇の下を経て肘に至り、前腕から手首を通り、手のひらでは薬指と小指の間を通ります。そして最終的には、小指の爪に達します。

経絡の滞りを解消することで、抑うつ症状の緩和が期待できます。定期的な胸を広げる運動や腕のストレッチを取り入れることで、経絡の循環が促進され、身体と心の両方の快適さが向上します。

つまり睡眠、食事、健康的な脂肪、運動の各要素が、ホルモンバランスと心理的健康を維持するために重要なのです。

 

(翻訳編集 山本 拓)

認定パーソナルトレーナー。個人に合わせた運動プログラムを開発および実施するための米国運動評議会の要件をすべて合格。ナチュラルスキンケア製品のマーケティングマネージャーとして経験を積み、健康と美容のレポーターおよび編集者として10年以上勤務。YouTube番組「Amber Running Green」と「Amber Health Interview」のホスト兼プロデューサー。