米宇宙軍トップ、宇宙における中国の脅威に危機感示す 国際ルールの策定急ぐ
宇宙の軍事化を図る中国共産党の取り組みは、米国の防衛力と戦力投射能力を脅かしているー。宇宙軍トップのジョン・レイモンド作戦部長は、20日に開催されたアスペンセキュリティフォーラムに出席し、米国は宇宙に関する国際ルールの策定において世界をリードする必要があると強調した。
混雑する宇宙空間
レイモンド氏は、紛争の抑止や敵対行為の拡大を防止する上で、宇宙に関するより体系化されたルールを策定し、米国の宇宙システムをさらに発展させることが重要だと述べた。
GPS、ミサイル防衛、国際的な銀行の検証など、世界で最も重要な通信システムのほとんどが宇宙空間の技術を利用している。レイモンド氏によれば各国による人工衛星の打ち上げ拡大やミサイル実験を重ねた結果、宇宙空間はより混雑し、競争的・争奪的になってきていると指摘した。
実際、軌道上の追跡可能な物体の数は、この2年間で2万2000個から5万個に増加しているという。
目前に迫る中国
レイモンド氏は、中国共産党は「国力のあらゆる手段」を脅かす存在だと述べた。同党は、宇宙における米国の利益に対して深刻な脅威を与えており、宇宙インフラを攻撃する様々な武器を構築していると危機感を示した。
また中国はその宇宙能力に関して、米国と同等レベルに達しており、宇宙で軍事的、民生的、商業的な優位性を獲得するための技術開発に取り組んでいると付け加えた。
中国の宇宙開発については、米宇宙軍のデービッド・トンプソン作戦副部長も懸念を表明している。昨年12月に開催された国防関連のフォーラムで、中国の宇宙能力の開発速度は米国の2倍となっているとの見方を示した。米国が開発を加速させなければ、2030 年までに中国は宇宙能力で米国を追い抜く可能性があるとも警告している。
さらに、11月には「中国とロシアが米人工衛星を毎日攻撃している」と発言し、宇宙空間における競争が加熱していると指摘していた。
これを受け、レイモンド氏は宇宙の安全確保に向け、人工衛星の活動を妨げないことを定める国際ルールの策定が必要だと主張。少なくとも確固たる枠組みを持つことで、中国の宇宙での敵対的な行動を測定し、記録することができると指摘した。
「米国は行動規範やルールを作る必要があると確信している。米国は友好国と取り組んでいる」と述べた。
(翻訳編集・山中蓮夏)