カナダのトロントで孔子学院を反対する集会。(大紀元)

名称変更した孔子学院、米大学と再び提携 NASが調査

非営利団体の全米科学アカデミー(NAS)は26日の記者会見で、閉鎖が相次ぐ孔子学院(CI)は、名称を変更して米国の大学と再び提携していると報告した。

孔子学院をめぐって、世界各国の大学に併設され中国語教育を行う一方、スパイ活動や中国共産党の影響力を拡大するための機関として批判されている。トランプ前政権は2020年、中国政府の「外交機関」と認定し、監視を強化すると発表した。

批判の高まりを背景に、全米で同学院を閉鎖する動きが広がった。NASの調べでは、全米でピーク時には118校あったが、現在は18校に減っている。全世界でかつて約550カ所設置されていた。

孔子学院がアメリカに再上陸か

一方、NASの6月15日付の報告書などによると、孔子学院を運営する中国国家漢弁(以下、漢弁)は別プログラムを立ち上げ、米大学との提携を再開し資金援助も続けている。「漢弁」自身も20年7月に「中外言語交流合作センター(CLEC)」に名称変更した。

NASの報告書によると、ジョージア州立大学と西ミシガン大学はそれぞれ20年7月、12月に孔子学院を閉鎖したが、その後、中国側と「中国語及び文化プログラム」という新しい提携関係を結び、中国人教職員を配置するなど孔子学院と同じ方式で運営している。

NASの統計では、全米で少なくとも28の大学が孔子学院を類似の新プログラムに置き換えた。

米FOXニュースによると、NASの研究員で報告書の著者の一人であるイアン・オクスネバド氏は、これは「孔子学院2.0版」だと指摘した。

同氏は、孔子学院が「米国の学生の中国に対する認識を操作しようしている」とみている。

NAS専門家:孔子学院は中国当局のプロパガンダ・スパイ組織

孔子学院をめぐって、米情報当局は共産党の浸透工作の一環であると警告した。

19年の米上院公聴会で、FBI長官のクリストファー・レイ氏は、孔子学院は「厄介な存在」であり、中国当局が「ソフトパワー戦略」を通じて米国に浸透する試みの一部であると証言した。 「中国当局の政策を発信するプラットフォームであり、検閲による学問の自由への制限を助長する」と同氏は言う。

「プロパガンダ目的のプラットフォームであると同時に、中国(当局)がスパイ活動を行う場所でもある。学術機密を盗んだり、反体制派を監視したりするためだ」とオクスネバド氏は述べた。

19年末時点で162カ国・地域に550カ所が置かれ、日本にも14カ所(2021年7月時点)ある。欧州でも中国のプロパガンダ機関であるとの警戒・批判が強く、閉鎖する政府・大学が多い。

日本政府は21年、「孔子学院」について、大学側に情報公開を促し、透明性を確保する構えを示した。

(叶子静)

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日本政府は、中国文化教育を名目に各大学に設置されている中国官製組織「孔子学院」について、大学側に情報公開を促し、透明性を確保する構えだ。中国共産党の出先機関でプロパガンダ組織とされる孔子学院について、欧米では、言論や学問の自由を脅かすとして閉鎖が相次いでいる。
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