米国のシンクタンク、政策研究機関である民主主義防衛財団(FDD)は12月9日、「中国と米高等教育機関の出会い–米大学が中国の軍事産業をいかに支援しているか」と題する報告書を公表し、中国政府が米国の数十校の大学と提携し、軍事技術の収集を行なってきたという調査結果を発表した。
2018年時点で、全米の113校の孔子学院のうち、71校(約63%)が米国の主力研究機関に設置された。現在、米国内の孔子学院の数は113校から34校に減少した。
報告書は、孔子学院を閉鎖した78校のうち28校が中国の大学との提携を維持、または拡大していると懸念を示した。
米大学や研究機関と提携している中国の大学の多くは、自国の軍需産業や、情報機関や核開発計画、サイバー攻撃などに協力しているという。
報告書は、上海交通大学と学術提携を結んでいるパデュー大学(米国)を例に挙げた。 上海交通大学は3つの防衛研究室を有し、中国軍事科学院と軍事共同研究を行い、傘下の信息安全学院の院長や主任教授が中国軍に勤務していたという。
報告書は、核開発にかかわっている中国の大学と提携する米大学に、スタンフォード大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ユタ大学、パシフィックルーテル大学の4校があると言及した。
報告書の著者であるクレイグ・シングルトン氏はFoxニュースの取材に対して、中国当局は米大学から、「技術的には機密ではない」が、軍事的利益に結びつく先端的な研究情報を収集していると話し、米国は機密情報に分類されていない情報の保護に対策を講じるべきだと進言した。
在シドニー中国総領事館の政治領事だった陳用林氏は米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、中国政府は、民間と軍を連携させ、カネの力で「千人計画」や「孔子学院」などを打ち出して、先進国の技術を盗んできたと指摘した。
米上院情報委員会は11月15日の公聴会で、中国の対米浸透・影響力がアメリカの国家安全保障を脅かしていると確認した。同公聴会で、米国家防諜安全保障センターの前所長ウィリアム・エバニナ氏は、米国成人の推定80%が中国政府にすべての個人情報を盗まれ、残りの20%も個人情報の一部を盗まれたと報告した。
中国などのライバル国の諜報収集活動に危機感を募らせた米国中央情報局(CIA)は10月に「中国ミッションセンター(CMC)」を新設した。最近では世界各地で諜報員の養成と配置を見直し、中国語を話す職員の大量採用を始めた。
全米公共ラジオ(NPR)によると、米トップクラスの現・元諜報員数十人は10月24日から26日に非公開会議を開き、「中国政府による大規模な対米スパイ活動」への対抗策を協議した。
NPRはCIAのターゲットは、冷戦時代はソ連、9・11同時多発テロ事件以降は中東の過激派組織、今後は中国政府に方向転換するだろうと予想した。
(翻訳編集・叶子静)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。