英博士「興奮させる発見だ」カナダで珍しい「恐竜のミイラ」を発見 

恐竜が絶滅してから約6500万年。発掘される化石は通常、恐竜のほんの一部の大きさしかないのですが、カナダの岩山に、完全な恐竜の骨だけでなく、皮膚の印象さえもある珍しい「恐竜のミイラ」があるのではないかと疑われています。

英国のレディング大学は今月初めに発表した声明の中で、2021年に科学者がカナダ・アルバータ州の州立恐竜公園(Dinosaur Provincial Park)で試掘作業を行っていた際、ボランティアが岩肌に目立つ状態にあった恐竜の化石骨格の一部を発見したと記しています。この公園は世界で最も恐竜の化石が豊富な場所のひとつです。

世界最大級の恐竜化石鉱山として有名なバッドランズに位置する、カナダ・アルバータ州の州立恐竜公園は、ユネスコの世界自然遺産に登録されています。(Sunny/大紀元)

化石は恐竜の尾と右後ろ足の大部分から突き出ており、恐竜の完全な骨格が岩肌に保存されている可能性を示唆しています。この部分から、この恐竜は 「ハドロサウルス科」の恐竜である可能性が高いと判断されています。これは大型の草食恐竜です。 

恐竜の骨が完全に残っていることは稀であり、この「恐竜のミイラ」は恐竜の外見や全体的な構造を知る上で重要な手がかりになるかもしれません。

現在、イギリスのレディング大学、オーストラリアのニューイングランド大学、カナダのティレル博物館が協力して、「恐竜のミイラ」が発見された現場に戻り、露出した化石骨の保存作業と残りの化石骨格の発掘作業を開始しています。

クリックすると、現場で働く科学者たちの映像をご覧いただけます
 

レディング大学のブライアン・ピクルス(Brian Pickles)博士は、「これは非常に人を興奮させる発見だ」と語っています。

「この恐竜は、露出している尾と後肢の大きさから幼体であったと推定されます。アヒル口恐竜の成体は化石記録によく残っていますが、若い恐竜は極めて少ないです。つまり、今回の新発見は、アヒル口恐竜がどのように成長・発育したかを古生物学的に解明するのに役立つだろう」と述べています。

アヒル口恐竜属の恐竜の復元画像(パブリックドメイン)

さらに、ティレル博物館のケイレブ・ブラウン(Caleb Brown)博士によると、この化石は、露出した化石の多くが「皮膚の痕跡」で覆われているという点でさらに珍しく、岩肌の中にもっと保存状態のよい恐竜の皮膚がある可能性を示唆しているといいます。「これにより、アヒル口恐竜が本当はどのような姿をしていたのか、より深く知ることができるかもしれません」。

発掘調査を通じて、岩肌に完全な骨が残っているか、恐竜の皮膚はどの程度保存されているかなど、保存状態が確認される予定です。

また、科学者たちは、この頭蓋骨が発見されれば、ハドロサウルス科のどの種に属するかを決定的にすることができるでしょう。この化石の大きさと保存状態を考えると、調査を行い、完全に公開できるようになるまでには数年かかると思われます。