日本航空自衛隊が迎撃した、長距離のWZ-7監視用UAV(航空自衛隊)

中国のドローン侵入が増加 台湾周辺にリスクをもたらす

アナリストらによると、中国(PRC)がインド太平洋でドローンの使用を拡大しているのは、中国のグレーゾーン的恫喝を示すものであり、対立のリスクを高める挑発的な戦術だという。

台湾国防部は2022年9月、人民解放軍(PLA)の無人機(UAV)が台湾の領空付近を飛行していることを初めて報告した。 報道によると、台湾は12月までに70機の無人機を防空識別圏(ADIZ)内で記録している。

2023年1月初旬、日本は航空自衛隊が戦闘機をスクランブルし、長距離のWZ-7監視用UAVを迎撃したと発表した。この種の無人機はこれまで日本上空で目撃されていなかったが、他の無人機は過去にも目撃されていた。 無人機(写真)は、東シナ海上空に現れ、沖縄に近い宮古海峡を通過し、フィリピン海上に出た後、進路を反転させた。 2日連続で同じ飛行経路をたどり、その後同海域で人民解放軍の空母や他の軍艦が訓練を実施した。

この威嚇行動は、日本が今後5年間で防衛費を倍増させ、中国が台湾を含む領有権を武力で行使することを抑止すると発表した後に行われた。

ドローン運用の増加は、数十年ぶりの閣僚を含む米国高官による台湾訪問をうけて2020年から激化し始めた中国による台湾に対する侵略作戦の一環とみられる。 中国政府は、台湾が中国の一部であったことがないにもかかわらず、台湾を自国の領土と主張し、外国政府関係者による訪問は台湾の主権主張を裏付けることになると主張している。 米国に本拠を置くミサイル防衛擁護同盟の報告によると、2020年、台湾は防空識別圏への人民解放軍の飛行を約380回記録した。 2022年には、その数は1,190回を超えた。 ニューズウィーク誌によると、1950年代に両岸の敵対関係を鎮めるために採用された非公式の国境線である台湾海峡中間線の東側への侵入は、同期間にほぼ倍増したという。

人民解放軍のドローンは通常、監視と偵察に使われると専門家は言う。 2023年1月のジャパン・ニュースは、人民解放軍は間違いなく「有事の際に」多数のドローンを使用し、戦闘訓練を行うだろうとの情報筋の話を引用している。 同紙はまた、無人機のプレゼンスが増すと、無人機の操縦者はパイロットとしての危険にさらされることなく「冒険的な行動」をとる可能性が高くなるため、敵対行為のリスクが高まるだろうと警告している。 また、アナリストらによると、台湾の領空に挑戦するものの、対決には至らないといったグレーゾーン戦略でドローンが使用される可能性もあるという。

台湾の国防安全研究院の安全保障アナリスト、ハン・ツーチェ(Hung Tzu-chieh)氏はニューズウィーク誌に、「今後、人民解放軍の航空機が今後も増加する可能性に加え、台湾の領空にますます接近し、こうした活動が常態化する可能性がある」と指摘し、 「早期警戒の時間が短くなるだろう」と述べた。

人民解放軍のドローンによる安全保障上の課題の増加を受けて、台湾は国産のドローン防衛システムを2023年に離島に配備し、今後4年間で45の航空、海軍、ミサイル基地に配備すると発表した。 一方、日本の2023年度防衛予算では、最優先事項の中に「無人資産防衛能力」を掲げている。

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