諸葛孔明――預言者か(下)【千古英雄伝】

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(続き)

諸葛孔明は色々な著作を残しましたが、中でも預言書とされる『馬前課』が最も有名です。一課が一つの時代を指し、わかりやすくなっているのです。

(1) 第一課 陽陰陰陰陰陽 (三国)

無力回天、鞠躬尽瘁。陰居陽拂、八千女鬼。

「釈」:「無力回天、鞠躬尽瘁」は孔明が自分自身のことを指し、劉備を補佐しても漢を復興させることはできませんが、全力を尽くすということです。「八千女鬼」は併せると「魏」という字で蜀が魏によって滅びることを指しています。

(2) 第二課 陽陰陽陽陰陽 (魏晋南北朝)

火上有火、光燭中土。称名不正、江東有虎。

「釈」:「火上有火」は「火火」で「炎」になり、司馬炎が魏元帝の禅譲を受け、晋を樹立し、「江東有虎」は八王の乱の後、首都が建康に移り、建康が地理的に「江東」です。

(3) 第三課 陽陰陰陰陰陰 (晋から隋へ)

擾擾中原、山河無主。二三其位、羊終馬始。

「釈」:「擾擾中原、山河無主」は「八王の乱」の時期は多くて五胡十九国になり、乱世が続いたことを指します。「羊終馬始」はこの時代は馬、すなわち司馬一族に始まり、「羊」の中国語発音は楊と同じであることから楊氏により滅び、楊氏によって隋が形成されました。

(4) 第四課 陰陰陽陰陽陰 (唐)

十八男児、起于太原。動則得解、日月麗天。

「釈」:「十八男児」は「十八」を併せると「木」で、「男児」は「子」を指すことから「木子」を併せると「李」となります。「起于太原」は李氏が「太原」で反乱を起こすことを指します。「動則得解」は則天武后の政治を指します。

(5) 第五課 陽陽陽陰陰陰 (五代十国)

五十年中、其和有八。小人道長、生霊茶毒。

「釈」:「五十年中、其和有八」は五代の50年あまりの八姓氏が統治したことを指し、「小人道長、生霊茶毒」は戦乱による乱世を指します。

(6) 第六課 陰陽陽陰陽陽  (宋)

惟天生水、順天応人。剛中柔外、土乃生金。

「釈」:「惟天生水」は宋を指します。五行説によれば土は水を克し、土から生まれる金、すなわち金(朝)は宋(朝)の克星(勝ちにくい敵)である故、「土乃生金」となります。宋代に人々は色に溺れ、中国の歴史上最も軟弱な国でした。しかし、国内の民衆に対しては厳しく、すなわち「剛中柔外」です。

(7) 第七課 陰陽陰陽陽陰 (元)

一元復始、以剛処中。五五相伝、爾西我東。

 「釈」:「一元復始」は元朝の始まりを指し、「以剛処中」はモンゴル人の漢族に対する統治が厳しいことを指し、「五五相伝」は元朝の皇帝は「五五」併せて「10人」であることを指します。「爾西我東」はモンゴル人が西、東への領土を広げることを指します。

(8) 第八課 陽陽陰陰陰陽  (明)

日月麗天、其色若赤。綿綿延延、凡十六葉。

 「釈」:「日月麗天」は「日月」併せて「明」朝を指し、「其色若赤」は「赤」が紅色を指し、「朱」も紅色を指すことから、明朝の皇帝の一族が「朱」氏であることを指します。「綿綿延延、凡十六葉」は明朝の皇帝が十六人であることを指します。

(9) 第九課 陽陰陽陰陰陰 (清)

水月有主、古月為君。十伝絶統、相敬若賓。

「釈」:「水月有主」は、「水」は「シ」偏で、「シ主月」あわせて「清」朝のことを指します。「古月為君」は「古月」あわせて「胡」で古代中国は少数民族のことを「胡」と呼んでいました。「十伝絶統」は清朝の皇帝は「十」人で、「宣統」皇帝で終わることを指します。「相敬若賓」は民族差別をおこなった元のモンゴル人の統治と違って、満州族の統治は漢民族に対して融和政策であったことを指します。

(10) 第十課 陰陽陰陽陰陰 (中華民国)

豕後牛前、千人一口。五二倒置、朋来無咎。

「釈」:「豕後牛前」、「豕」は「豚」の別名で、辛亥革命が1911年に起き、この年が豚の年で、1913年が牛の年です。「豕後牛前」は1912年、すなわち、1912年2月13日清の皇帝が正式に退位することを指します。千人と一つの口すなわち「千人口」は「和」という字で、中国の歴史上初めて共和国が成立することを意味します。「五二倒置」は古代君主が「九五の尊」ですが、「共和国」は民に権力を戻すことからその前の制度とは逆であることを指します。「朋来無咎」は国際上、国が軟弱なゆえ、侮られたり、侵略を受けることを指します。

(11) 第十一課 陽陰陽陽陰陽 (中華人民共和国)

四門乍辟、突如其来。晨鶏一声、其道大衰。

「釈」:「乍辟」は伸び広がるという意味で、「口」の四辺が伸び広がって「共」という字になります。「突」は「突厥」(テュルク)を指し、ここでは外国人という意味で、合わせて共産主義者が中国に侵入するという意味です。「晨鶏一声、其道大衰」は中国共産党政権は鶏年に終焉を迎え、「晨鶏一声」の後は「天下大白」になります。つまり、中共崩壊には「白」が関わっていて、滅亡後、天下は「赤」から「白」に変わることを指します。

(12)第十二課 陰陽陽陽陽陰 (大災難と救世主)

拯救患難、是唯聖人。陽復而治、晦極生明。

「釈」:間もなく人類にかつてない大災難がやってくるとき、救世主が現れ、世界を救います。陰が尽きて、陽が復活し、全世界が間もなく太平の世を迎えることを指します。ここの「明」は中国文化の中の救世主に対する「明王」を指します。

(13) 第十三課 陽陰陰陽陽陽 (平和で繁栄した時代を謳う)

賢不遺野、天下一家。無名無徳、光耀中華。

「釈」:「賢不遺野、天下一家」は栄えている時代という意味です。「無名無徳」は人々が心から善行をやり、互いに尊重し、信頼し合い、兄弟のように親しくなることを指します。つまり、名誉や利益を重んじなくなるということです。「光耀中華」は共産党によって破壊された中国文明が再び復興し始めることを指します。

(14) 第十四課 陽陰陽陰陽陰 (終)

占得此課、易数乃終。前古後今、其道無窮。

予言はここで終わるという意味です。