米電子商取引最大手のアマゾンも中国政府のネット検閲に協力することがわかった。(Photo credit should read LOIC VENANCE/AFP/Getty Images)

アマゾン出店者、6割は中国 浮かぶ書評の検閲疑惑

英国のあるアマゾン利用者が、中国に関する書籍にレビューを投稿しようとしたところ「不適切な内容」として拒否された。サードパーティー出店業者の約6割を中国が占めるアマゾンに、利用者の対中評価を検閲しているのではないかとの疑惑が浮かぶ。

ポール・ケンチントン氏が今月6日、香港滞在歴の長い英人権活動家ベネディクト・ロジャース氏の著書『チャイナ・ネクサス:30年にわたる中国共産党の暴政』に対する書評を投稿しようとした。ところが9日に、アマゾンから「不適切な内容」として拒否された。

ケンチントン氏は自身の氏名が問題だと考え匿名で再投稿したところ、投稿はまたもや拒否され、今度はコミュニティ特権を剥奪するとの脅しがあった。2回の通知とも、何を不適切と判断したのかは明記していない。

シアトルとアーリントンに本社を置くアマゾンは、中国と大規模な取引を行っており、米国や欧州、日本といったコア市場で大量の対中輸入品を販売している。

Eコマース情報会社EcomCrewによると、アマゾンのサードパーティ出店者の6割が中国だという。製品には出店する国を明記する必要はなく、この重要な事実を隠している。

近頃、アマゾンが中国国家主席の習近平氏および中国共産党に批判的な書評を検閲しているが、このような対中供給依存を考えれば、それは特定の者への肩入れを疑わせるものだ。

ケンチントン氏と大紀元はさらなる情報を求めたが、アマゾンはコメントに応じていない。

中共か、自由と民主か

検閲の対象となったレビューには「習近平が毛沢東型の暴力的抑圧とスターリン主義の権威主義支配へと回帰していること対して、世界は関心を高め、注意を払うべきだ」と書かれていた。

ケンチントン氏はレビューで「『香港』、『火の中のキリスト教』、『チベット』、『ウイグル人虐殺』、中国当局による大規模な臓器狩りへの関与についての章は、中国当局の政策や中国共産党の政治システムに対して怒りを覚えるほど、私にとって衝撃的事実だった」と語っている。

ロジャー氏はアマゾンによる検閲について、中国共産党が世界各地で行っている広範囲の影響工作という文脈でとらえている。

「もし、私の著書に対する支持を拒否したアマゾンの決定が事故でないというのなら、ここでもまた中国共産党が恐怖を植え付け、影響力を獲得したことを物語っている」

『チャイナ・ネクサス』の出版者であるカナダ人のディーン・バクセンデール氏は「中国当局の神経を逆撫でしないために、アマゾンによって書評や書籍の説明書が検閲されるのは今回がはじめてではない」と述べた。

バクセンデール氏が出版に携わった別の書籍、サム・クーパー著『故意の盲目:ナルコス、タイクーンズ、中国共産党幹部らのネットワークがいかに西側世界に浸透したか』の説明文もまた、アマゾンの検閲対象となったという。

『故意の盲目』では、中国共産党、違法麻薬取引、賭博、マネーロンダリング、カナダの政治家といったものの間の繋がりについて触れられている。

「アマゾンは、新疆ウイグル自治区で行われている奴隷労働を支持してさらに金儲けをするか、自由と民主主義のために、ESGの枠組みを支持する企業や国へとサプライチェーンを再編成する勇気を見出すか、どこかのタイミングで選択を迫られるだろう」

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