正規戦は戦争において氷山の一角に過ぎず、海面下にはその何倍もの目に見えない情報戦争が常に繰り広げられている(大紀元)

【寄稿】情報戦争とはなにか【現代情報戦争の概略】

1 情報戦争の定義

ウクライナ戦争が勃発するまで、これからの戦争は情報戦争が主流となり、従来の正規戦は次第に姿を消して行くとさえ、一般には考えられていた。ところが、ウクライナ戦争が勃発し、まるで第一次世界大戦が復活したかのような様相を呈して、人々を驚かせたのである。

私はかねてから、情報戦争と正規戦は、ともに戦争を構成する二つの側面であり、いかに情報技術が進歩しても、正規戦が無くなることはあり得ないと考えてきた。つまり戦争の形態は変わっても、戦争の本質は変わらないのである。

ここで、情報戦争と正規戦の定義が必要となる。そのためには、まず戦争を定義しなければならない。戦争とは闘争の最高段階であり、その段階では闘争は無制限に拡大することが可能である。正規戦とは、公然たる戦争であり、すなわち目に見える戦争である。情報戦争とは非公然の戦争であり、目に見えない戦争である。

従って正規戦を公然戦、情報戦争を秘密戦と言い換えることができよう。ここで最も分かりやすい具体的比喩として「氷山の一角」を挙げることが出来る。氷山は海に浮かぶ氷の巨大な塊であるが、海上に頭を出している氷の山は実は、その一部に過ぎず、大半は海面下にあって姿が見えない。

タイタニック号は氷山の一角を、海面上ではぎりぎり回避したかに見えたが、実は海面下の巨大な氷の塊は船腹を大きく切り裂き、数時間もしないうちに、当時、世界最大の巨大客船は海の藻屑となってしまった。

つまり正規戦は戦争の一部分に過ぎず、常に戦争という巨大な氷山の一角に過ぎない。その海面下には、その何倍もの目に見えない戦争すなわち情報戦争が常に行われているのである。

(つづく)

関連記事
歴史的な経験から、米国が共和党政権になったとき、韓国が左翼政権になれば、在韓米軍撤退が進展することになる。2024年米大統領選の結果によっては、日本を取り巻く国際環境が大きく変化するのだ。
私は経済記者として1990年代後半から日本経済、そしてさまざまな産業を見てきた。中でもエネルギー産業の持つ力の巨大さ、社会全体に影響を与える存在感の大きさが印象に残り、働く人の真面目さに好感を持った。特にその中の電力産業に関心を持った。
イスラエル・パレスチナ問題をめぐる分断は米国社会に大きな爪痕を残している。年末に米大統領選を控えるなか、中国共産党が背後で影響力を行使していることに警戒しなければならない事態となっている。
不思議な現象がある。メディアが作り出す世論を、SNSでは作ることができない。オールドメディアの影響力が強い沖縄では、中国共産党への警戒を呼びかける一般人の声がかき消され、人々は真実の情報を入手できない境地に陥っている。
5月上旬に中国・福建省の共産党トップが沖縄訪問する。自由主義対共産主義の「新冷戦」が進むなか、沖縄をめぐる熾烈な争いが、水面下で進んでいる。