2007年香港で記者会見するデービッド・マタス弁護士 (Photo credit should read woody wu/AFP via Getty Images)

日本、臓器移植法の整備に向けて…中国臓器収奪の調査第一人者から5つの提言

海外の病院で臓器移植の無許可あっせんを行ったとしてNPO法人理事が逮捕された事件を契機に、日本では政府、議会、医師会が同問題への取り組みを始めている。岸田文雄首相は法制度の見直しを進める考えを明らかにしており、現行法の抜け穴を塞ぐことが期待される。

2月の衆院予算委員会で、加藤勝信厚生労働相が「医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査を行う」と述べた。3月には、同省研究班が海外で移植手術を受けた患者を診察した国内医療機関から調査を始めるとNHKなどが報じた。

日本移植学会など5学会は昨年12月、海外での不透明な臓器移植の根絶を目指す共同声明を発表。新たに医学関連の4学会がイスタンブール宣言を承認した。

カナダ英国など各国で相次ぎ渡航移植に関する法律が整備される背景には、中国の臓器収奪がある。この問題の調査第一人者であるカナダの人権弁護士デービッド・マタス氏は5学会の声明発表を歓迎しつつ、同問題への日本人関与停止のためにも、さらなる日本への取り組みについて提案した。

次の段落よりマタス氏の言葉となる。

イスタンブール宣言を支持する日本の5学会の共同声明は歓迎すべきものだ。臓器移植による成果と成功が臓器売買と人身売買によって損なわれていることを言明している。さらにいえば、これら悪行を終わらせる決意が表明されている。

5学会は、この悪行を終わらせるために声明以上の取り組みが必要だ。中国へ渡航移植をすれば良心の囚人が臓器摘出のために殺されることとなる。こうした証拠は数多くある。主に法輪功修煉者のほか多数のウイグル人、少数のチベット人、地下キリスト教会教徒がその犠牲となっている。

5学会による共同声明の発出を「出発点」として、イスタンブール宣言に記載された原則の実施を推進していくよう求める。原則の遂行は、日本人自身によって行われる必要があり、声明を採用した5学会によってリードされるべきだ。

イスタンブール宣言は11の原則を定めており、第9と第10の原則は次のようにある。

医療従事者や保健医療施設は、臓器取引や臓器摘出のための人身取引や移植ツーリズムの防止や対処を支援すべきである

 

各国政府や医療従事者は自国民の移植ツーリズムへの関与を予防、阻止する方策を実行すべきである

これを踏まえ、私は日本の5学会がするべきこととして次の5事項を提案する。

  1. 海外臓器移植ツーリズムに関与することを禁止する法律を日本の国会で採用することを推進する

     
  2.  移植臓器、手術日、施術した国、臓器移植をした病院、移植医を含むすべての海外での臓器移植情報について、政府が管理する登録機関への報告義務を課すことを強く求める

     
  3. この登録機関の海外臓器移植に関する集計データを公開するよう要求する

     
  4. 移植を必要とする患者に対するカウンセリングの専門倫理を採用する。これには、次の事項を患者に警告することを含む。

    ▽渡航移植希望者への処方箋や医療記録を拒否すること 

    ▽中国で臓器移植が行われる場合、臓器の供給源が殺される可能性があることを患者に助言すること 

    ▽中国の移植専門家が治療とアフターケアの記録を提供できないことにより日本帰国後の治療サービスは危うくなる恐れがあること

     
  5. 中国と日本の移植専門家および機関間の相互協力について、専門的な倫理基準を設定する。中国の専門家が臓器収奪に加担しておらず、今後も加担しないという検証可能な約束ができなければ、研修、交流、会議、教育、研究などの関係構築を禁止する    
関連記事
「法輪功迫害を追査する国際組織」(追査国際)が、武漢市の臓器移植医療をめぐる深刻な疑惑を告発した。強制的な臓器摘出や短期間での移植実施など、衝撃的な実態が報告書で明らかにされている
学校で「転落死」とされた中国の高校生。説明は二転三転し、現場は変えられ、腎臓は摘出された。事故なら、なぜここまで不自然なのか――疑念だけが残った。
中国で臓器提供を「見義勇為(勇気ある善行)」として表彰する制度が拡大中。移植数と提供数の大きな差、学校での啓発、増え続ける失踪事件。 なぜ今、人々はこの動きを直感的に「怖い」と感じているのか
中国の医師が、心臓移植ドナーの多くは他省や南方から来ると暴露。異常な短期間で適合臓器を見つける「逆マッチング」や、一晩で9件もの手術を行う医療現場の闇、生体臓器収奪への関与が疑われる実態に迫る
中国で、人体の臓器提供を「見義勇為」として表彰・優遇する制度が広がりつつある。だが、この動きをめぐっては、中国国内で強い警戒感が広がり、ネット上では「誰のための制度なのか」と疑問の声が相次いでいる