ドイツで開かれたサイバーセキュリティの展示会会場でキーボードを操作する模様。参考写真 (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

中国警察、Change.orgに署名した在米の中国人女性を特定

中国の国家安全警察は、中国共産党(以下、中共)指導者の習近平を批判するChange.orgの請願書に署名した米国在住の中国人女性を特定した模様。女性の個人情報を警察がどうやって入手したのかは明らかになっていない。

米国在住の中国人女性、寧寧(ニンニン)さんは、最近になって中国にいる父親から深夜に電話を受けた。そしてChange.orgの署名が彼女のものかどうか確認されたという。ラジオ・フリー・アジアが3日、報じた。

国保(国内安全保衛部、警察機構のひとつ)が父を訪ねました。そして請願書のウェブサイトの文章を繰り返し見せ、署名したのは私かと尋ねたそうです」 「個人情報を入力する必要はあったのですが、彼らはそれが私だと知っていたようです」

警察からのビデオ通話要請

警察は、請願書への署名に使用したメールアドレスと、以前そこで使用した他のメールアドレスもすでに知っていたようだと寧寧さんはいう。「彼らは私のアカウントの詳細を知っていて、私がログインした画面を彼らとビデオ通話で共有するよう求め、他のソーシャルメディア上の私のアカウントも探していました。そして、そのアカウントが私のものかどうか、そこにどんなことを投稿していたかと聞いてきました」

寧寧さんによると「署名した請願書に中国共産党の習近平政権を批判する文言が含まれていたため標的にされた」。警察によれば、この件は「国家安全上の重大事件」として重要度が高いという。

Change.orgでは現在、英語で「China」というキーワードを含む9,000件以上の請願を受け付けているが、サイトを簡単に検索したところ、その多くは犬を食す地方文化を批判する動物保護に関連するものだった。

同サイトでは、本名を伏せてニックネームだけを公開することも可能だ。中国の警察がChange.orgの利用者の個人情報にどのようにアクセスできたのかは謎に包まれている。

「警察は、誰がどんなメールアドレスでそのサイトにログインしているのか、リアルタイムで見ることができるようで、かなり怖い」と寧寧さん。「どうして私のメールアドレスが分かったのでしょうか?」

Change.orgは、中国のインターネット検閲のグレート・ファイア・ウォールによって中国からアクセスできない。Change.orgの広報担当者によれば、サイバー・セキュリティ・チームが最近、国際請願書に署名する人々に関するデータプライバシーと情報セキュリティの契約を見直したが、漏洩やシステムの脆弱性の兆候は見つからなかったという。

新浪微博の元検閲官検閲官リュウ・リーペン氏は、「中国を拠点とするハッカーがChange.orgを標的にした可能性もあるし、警察が何らかの方法で同サイトからの流出データを入手した可能性もある」とコメントしている。

「中国当局が彼女の家族に直談判し、何かを削除させるよう依頼することが可能だったという事実は、彼らが彼女のメールアドレスを見たことを明確に物語っている」とリペン氏。「警察はすでに、Change.orgからのリークであることを完全に明らかにしている」

「しかし、その後どうやって彼女の電子メールと本名を結びつけたのかが分かっていない。しかし、彼らがメールアドレスを知っていたということは、間違いなく、あのサイトから流出したのだ」

(翻訳・大室誠)

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