国会議事堂 (Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

改正入管法、あす成立見通し 参院法務委で賛成多数

難民制度の悪用等の問題点を解消するため、8日午前の参院法務委員会では、難民申請中でも強制送還を可能にすることなどが盛り込まれた改正出入国管理・難民認定法案が賛成多数で可決した。9日の参院本会議で可決、成立する見通し。委員会では反対する野党議員らが激しく抵抗し、紛糾する一幕があった。

改正案は自民、公明、日本維新の会、国民民主党の賛成多数を得て可決となった。紛争地からの避難民を「準難民」として扱うほか、難民認定手続き中の者は強制送還を停止するとの規定を改め、申請は原則2回までとする条項が盛り込まれた。

 立憲民主・社民は審議続行を要求し、多くの難民申請者に会ってきたという石川大我議員(立憲)は「人の命を奪う法案には絶対に反対だ」と論じたが、採決に至った。

政府は2021年の通常国会にも同様の改正案を提出していたが、収容施設でスリランカ人女性が死亡したため廃案となった。今回の改正案には施設の医療体制強化などが盛り込まれた。

送還忌避と難民申請制度の悪用が問題視されてきた。出入国管理局によると、強制送還を拒む者(忌避者)の数は2022年12月末時点で3224人に達し、うち1133人が前科者だった。懲役1年以上の実刑判決を受けた者は515人だった。

出入国管理局は、日本人と外国人との共生社会は重要としつつ「どんな人でも入国・在留が認められるわけではない」と強調。 「現在の入管法では、難民認定手続中の外国人は申請の回数や理由等を問わず、また、重大な罪を犯した者やテロリスト等であっても、退去させることができない」と改正の必要性を訴えた。

同局は不法残留中に覚醒剤取締法違反で懲役12年、罰金500万円の実刑判決が下った外国人が難民申請し、出所後に仮放免された事例を挙げた。送還を忌避するイラン人323人のうち、薬物関連の法律違反で有罪判決を受けた者は175人に及ぶ。

関連記事
8日の参議院決算委員会で、斎藤経産相は「再エネ発電事業者が意図的に発電設備の稼働を抑制・停止させること自体は可能だ」と述べた。中国による電力供給停止の危険性を質した柳ケ瀬裕文議員(日本維新の会)に対する答弁。
安芸高田市の石丸伸二市長は、次期市長選挙への不出馬を表明した。任期満了に伴う市長選は今年7月に予定されている。 […]
垂秀夫前駐中国大使は9日、長年に渡って日台間の友好関係を推進してきた実績から、台湾の蔡英文総統より勲章を授与された。垂氏は自身と台湾との深い縁に言及し、今後も日台関係の強化に尽力していく考えを示した。
中華民国の新政権就任式に向け、台湾日本関係協会の陳志任副秘書長は7日、外交部の定例記者会見で、20日に行われる頼清徳次期総統の就任式に、現時点では各党・会派から37名の日本国会議員が37人が出席する予定だと発表した。過去最多の人数について「日本側は新政権をとても重視している」と歓迎の意を示した。
中国共産党の統治に反感を抱く中国人が続々と東京に集っている。識者らは、辛亥革命時に日本人が孫文らを支援した歴史を想起し、「義を見てせざるは勇なきなり」の精神で中国人と付き合うべきだと指摘した。