アメリカのマサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、空気中の水分子を利用して発電する方法を発見し、信頼できる再生可能エネルギー源の扉を開きました。
「Advanced Materials」誌に5月5日に掲載された論文によると、100ナノメートル未満の小さな穴さえ構成できれば、どんな材料でも空気から電力を収集する機能を実現できるといいます。
「これは非常に興奮する結果です。薄い空気からクリーン電力エネルギーを得る扉が開かれようとしています」と論文の主要著者であるシァオマン・リウ氏は述べています。彼はマサチューセッツ大学アマースト校の工学部電気・コンピュータ工学の大学院生です。
この論文では、人間の髪の毛よりも1000倍細いナノ細孔を使用し、空気中の水分子の固有電荷を収集する方法について説明しています。これらの細孔のサイズは水分子間の「平均自由行程」の長さと同じであり、分子が別の分子に衝突する前に空気中で移動する距離を表しています。
研究者は、この距離(100ナノメートル)と同じサイズの微細孔を備えるデバイスを作成することで、分子の自然電荷を収集することができると言います。このような「エアージェン(Air-gen)」は、孔径のサイズが非常に小さいため、水分子が薄い材料層を通過する際に孔の端に衝突しやすいという原理に基づいて機能します。研究で使用された特別に設計された積層材料では、エアージェンの上部が下部より多くの帯電水分子に衝撃を受け、雲の電荷不均衡現象が発生し、雷のような電流を生み出す基本原理となります。
「空気中には大量の電力が含まれています」と姚軍氏は述べています。姚軍氏は同じくマサチューセッツ大学アマースト校工学部の電気・コンピュータ工学の助教授であり、この論文の共著者です。「どこに行ってもクリーン電力が手に入る将来の世界を想像してみてください。一般的なエアージェン効果おかげで、近い未来世界を現実化させる可能性が高いです」
姚軍氏は「雲を考えてみてください。雲は単なる水滴の集まりですが、それぞれの水滴には電荷が含まれています。条件が整えば雲から雷が発生することができますが、但し、自然界の雷から電力を利用する方法は分かりません。実現できるのは人工的な小さな雲を作り、持続的に電力を発生させることです。更に、驚くべきことは、この装置はほぼあらゆる材料で作ることができます」
「空気から発電する機能、つまり以前「空気発電効果」と呼んでいたものは、普遍的に存在することが証明されました。特定の特性を備えていれば、どんな材料でも空気から電力を取得することができる」と姚軍氏は述べています。
このアイデアは以前にも試されましたが、著者は「新しいデザインがより長い時間動作することができるため、将来持続可能なグリーンエネルギーの提供を期待している」と述べました。
著者は、「この画期的な発見が世界中であらゆる材料を使って、空気から電力を取得するのに役立つことを期待しています。空気は常に湿気を含んでいるため、電力収集装置は他の再生可能エネルギーのように太陽や風に依存する必要はありません」
姚軍氏は「このアイデアはシンプルですが、これまで発見されたことはありません。あらゆる可能性を広げました。熱帯雨林でも、砂漠でも電力供給に困難を抱える地域において、持続可能な解決策として期待されています」と話しています。
「また、空気発電機は積み重ねて、発電量を増やすことが可能です。数千もの空気発電機を積み重ねると、一般な電力施設にキロワット単位の電力を供給できます」
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