夏に手足が冷える? 漢方医が教える対処法(下)

(続き)

三陰交のツボをマッサージする

三陰交は肝・脾・腎の3つの経絡を調整するツボです。泌尿生殖器系の病気、不眠症、頭痛、冷え性、下肢の衰弱、高血圧を予防します。

位置:下腿の内側、足首の骨の一番高いところから3センチ上(指4本分の横幅くらい)。 脛骨の後端は骨の凹みに近い。

施術方法

1.  灸:ドライヤーの温風を5~10分当てる。

2. マッサージ:ツボ押し、揉みほぐし、擦り、指で押す。親指で反対側のツボを押し、残りの4本の指をふくらはぎの骨の前側に置き、筋肉のくぼみを少し強めに50~60回押し揉みます。

 

(ナミッコ / PIXTA)

 

•足裏上げ

足のかかとは人体の腎経と密接な関係があり、足裏上げとは実際に腎経のツボを刺激しています。30歳を過ぎると腎気が虚弱になり、腎陽が不足し、往々にして寒さに弱く、かかとの冷痛、下肢のむくみなどの症状が現れやすくなります。足裏をこまめに上げることで腎気を補助することができ、陽をサポートする非常に良い方法です。

•足湯

40度前後のお湯に20分ほど足を浸し、血行を良くします。また、生姜やカモミール、バジル、シナモン、ローズマリーなどのエッセンシャルオイルをお湯に加えても同様の効果があります。

•手足を揉む

空いた時間に手足を揉んだり、ツボ(足の裏の「湧泉」と手のひらの「労宮」)をマッサージしたりして、手足を温めます。 例えば、毎日起床後と就寝前に足の裏の湧泉のツボを足が温かくなるまでさすります。

(ナミッコ / PIXTA)
( おおしま / PIXTA)

 

3. 生活の養生と禁物

飲食

1.  蓮根、里芋、リンゴ、カボチャ、ニンジン、ほうれん草などの根菜類や色の濃い野菜や果物を多く食べると、体を温める効果があります。

2.  紅茶、ウーロン茶、プーアル茶などの発酵茶は、発酵していない緑茶よりも体を温める効果があります。 緑茶やコーヒーは控えめに。

3.  黒糖、玄米、全粒穀物などの未精製食品にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、より多く摂取する必要があります。

4.  生姜、香辛料、姜母鴨(台湾の鍋料理)、桂圓(龍眼)茶、黒ゴマ、甘湯圓(台湾のスイーツ)などは体を温めることができます。生姜は血液循環と新陳代謝を促進し、発汗と冷えを防ぐ効果があります。就寝前に小さじ1杯の生姜粉末をお湯に混ぜて飲むと良いです。また、黒砂糖を加えると体がすぐに温まり、眠りやすくなります。

5.  人参、党参、当帰、丹参、シナモン、肉苁蓉、乾燥生姜、花椒、ナツメ、竜眼肉、山芋、クコ、首烏などは、お茶を入れたり、煮たり、料理するのに用いられ、手足の冷えを改善し、予防します。

6.  牛肉は、脾胃の虚弱な人に特に適しています。羊肉は、虚寒症状に一定の治療効果があり、エビは、冬の腎陽虚による冷え性や、腰や膝が弱っている人に最適です。

7.  冬瓜、スイカ、緑豆、大根などの生冷(生のまたは冷たい食品)、清熱(体を冷やす)、滑利(消化が良い)のものを控えめにします。

運動

『千金方』によると、「手足が冷たい場合、それを叩いて暖めると症状は消える」とあります。両腕をたたいたり、足をたたいたりすることで、四肢末梢の血行を促進することができます。毎朝「歩くより速く、走るより遅い」くらいの速度で手を振りながら10~20分大股で歩くのもいいでしょう。室内でも、次のような簡単な運動を行うことができます。

(1)足首を回して左右に2~3分円を描きます。

(2)つま先を上に向けて足の筋肉を引き締め、足の指を開いたり締めたりを30回以上繰り返します。

(3)椅子に3分の1ほど腰掛け、背筋を伸ばし、片足をまっすぐ前に出し、ゆっくり息を吐きながら前屈し、内ももの筋肉が引き締まるのを感じたら、元の姿勢に戻り、足を入れ替えます。

(完)

<本文は『漢方医対症調理在宅養生宝典:薬膳食療X外治秘方X穴道マッサージ、羅明宇博士の30年医案ノート&日常保健療法』より抜粋〉

羅明宇