2日、仏南部ニースで路上で花火を放つ人々 (Photo by Valery HACHE / AFP) (Photo by VALERY HACHE/AFP via Getty Images)

仏暴動、警察が射殺した17歳少年の祖母「孫の死を“口実”にしているだけ」

フランスでは数年来で最悪規模の暴動が起きている。契機は、警察がパリ郊外で検問中に17歳少年を射殺した事件だ。いっぽう少年の祖母は暴動について「暴動を引き起こしている人々は孫の死を“口実”にしているだけ」と述べ、乱暴を止めるよう呼びかけた。

2日、仏放送局BFMTVの電話インタビューで明らかにした。祖母は、孫を殺した警官へは怒りを覚えるものの、警察機構そのものに対しては憤ってはおらず、「窓やバス、学校を壊さないで。何より事態を落ち着かせたい」と語った。孫のナヘルさんは週末に葬られたという。

暴力は減少傾向にあるものの、内務省は2日、4万5千人の警察官と憲兵隊を全土に配置すると発表した。先月26日以降、3千人以上を逮捕した。

暴動の背景には、長年くすぶってきた仏旧植民地出身者に対する人種差別があるとされる。人権団体は、警察の検閲は少数民族を特別に狙ったと対応を批判した。いっぽう、警察は交通違反への対応だと説明している。

マクロン大統領は2日、閣僚とともに特別緊急会合を開いた。マクロン氏は暴動の発生した自治体の長と面会する予定だという。このほか、2日から予定していた訪独日程を延期させた。

ドイツのショルツ首相は、仏暴動を「懸念を持って」注視していると放送局ARDのインタビューで述べた。「仏大統領がこの状況に迅速に改善する方法を見出せることを願い、またそうであると確信している」と語った。

市長宅襲撃 殺人未遂容疑で捜査

暴動によって警察署や市役所、図書館、路面電車など複数の公共物破壊から店舗襲撃と略奪にまで及んだ。5日にはパリ郊外のライレローズ市市長宅への襲撃事件が起きており、警察当局は殺人容疑で捜査している。

2日、ジャンブラン市長は暴動対応のため市役所にいる間、自宅が襲撃されたことを明らかにした。深夜1時30分、車が市長宅に突っ込んだ。妻と子供が裏庭から逃げる際に負傷したという。

検察は殺人未遂の捜査を開始した。予備調査段階では、犯行には市長宅を燃やす目的があったとされ、炎がより燃え広がるよう車両内には燃料入りの瓶が発見されたという。

2日パリ郊外の市の市長宅に車が突っ込んだ。警察は殺人未遂容疑で捜査している(Photo by Nassim GOMRI / AFP) (Photo by NASSIM GOMRI/AFP via Getty Images)
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