イエレン米財務長官は、4日間の訪中最終日の9日に記者会見し、中国当局者との10時間に及ぶ会談は「直接的」かつ「生産的」なものだったと振り返った上で、両国関係の安定化に寄与したとの認識を示した(2023年 ロイター/Thomas Peter)

イエレン氏、米中関係に「一定の前進」と評価 4日間の訪中終了

[北京 9日 ロイター] – イエレン米財務長官は訪中最終日の9日に会見し、中国当局者との10時間に及ぶ会談は「直接的」かつ「生産的」なものだったと振り返った上で、両国関係の安定化に寄与したとの認識を示した。

米中は依然として多くの問題で対立しているとしながらも、今回の訪問が米中関係を「より確かなものにする」ための努力を前進させたと自信を示した。

「不公正な経済慣行」や最近の米企業に対する懲罰的措置を例に挙げ「米中には大きな意見の相違がある」とする一方、「バイデン大統領と私は、米中関係を大国間の対立という枠で捉えてはいない。われわれは、世界には両国が繁栄する余地があると信じている」などと語った。

イエレン氏は、4日にわたった訪中の目的は中国の新経済チームとの関係を確立し深めること、誤解のリスクを減らし、気候変動や債務問題などの分野での協力の道を開くことだったと説明。その上で「一定の前進があったと思う。両国と世界に利益をもたらす健全な経済関係を築くことができると考えている」とし、事務方での定期的なコミュニケーションが増えることを期待すると述べた。

米財務省の高官は記者向けの説明で、予想されていた通り政策面で具体的な進展はなかったが、「交流再開」や関係構築の面で「大きな成果を上げた」と評価した。

中国側は、米国が対外投資を制限する大統領令を発令する可能性について懸念を提起。これに対し、同高官はいかなる措置も対象を狭く限定し、一般意見も取り入れてルールを制定することで透明性を確保すると説明したという。

イエレン氏は、中国側には米国の行動に懸念を提起して米側に説明を促すことが可能だと伝えたと明らかにした。米国の行動が意図しない結果をもたらせば米国が対応する可能性もあるとした。

イエレン氏は中国訪問中、李強首相や中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝副総裁などの当局者と相次いで会談したほか、現地の米企業関係者、気候ファイナンスの専門家、女性エコノミストらとも面会した。

当局者との会談では、経済や気候問題に関する両国の協力促進を訴える一方、中国で活動する米企業に対する「懲罰的措置」を批判した。

米中経済のデカップリング(分断)については、「両国にとって悲惨であり、世界の不安定化につながる」として、反対の意向を改めて示した。

また、投資制限を導入する可能性については「米国が具体的に安全保障上の懸念を持つ幾つかの部門に限定的かつ明確に対象を絞ったものになる」と中国側に強調したと述べた。

前出の高官によると、イエレン氏は投資制限に関するいかなる大統領令も経済的利益を目的にはしないと言明し、どのような内容になるかについて詳しく説明したという。

イエレン氏は一方、新興5カ国(BRICS)による共通通貨創設の可能性について、ドルが国際取引において支配的な通貨であり続けると想定していると述べた。

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