インド準備銀行(中央銀行、RBI)は10日、主要政策金利のレポレートを6.5%に据え置いた。写真はインド中銀のロゴ。ムンバイで4月撮影。(2023年 ロイター/Francis Mascarenhas/File Photo)

インド中銀、予想通り金利据え置き 流動性引き締め措置も発表

[ムンバイ 10日 ロイター] – インド準備銀行(中央銀行、RBI)は10日、主要政策金利のレポレートを6.5%に据え置くことを全会一致で決定した。据え置きは3会合連続で、市場の予想通りだった。

同時に、市中銀行が中銀に預け入れる比率である現金準備率を時限的に上乗せして流動性を引き締める措置も発表した。ここ数週間の食品価格の季節的な上昇幅が例年より大きく、インフレ懸念が再燃したことに対応した。

中銀はインフレ抑制のために2022年5月以降、計250ベーシスポイント(bp)の利上げを行っている。

中銀の金利据え置き決定を受けて、通貨ルピーは対ドルで若干下げた。

インドの指標10年債利回りは現金準備率の上乗せが発表されたことを受けて一時7.1861%に上昇したが、時限的措置と総裁が説明するとすぐに低下した。

中銀のダス総裁は、インフレ率が中銀の目標内に収まるよう着実に図ると同時に景気支援を継続する意図で「緩和策解除」の政策スタンスを維持したと説明した。委員会の6人のメンバーのうち5人がこのスタンスを支持した。

ダス氏は「インフレの押し上げと抑制で流動性は重要な役割を果たす」とし「インフレに関する仕事はまだ終わっていない」と述べた。

中銀は食品価格の上昇を理由に今年度のインフレ見通しを従来の5.1%から5.4%へ引き上げた。7─9月期は6.2%と予想し、前回の5.2%から大幅に上方修正した。

ダス氏は食品価格の急騰のようなショックが持続する兆候が見られれば「行動しなければならない」と語った。

インドの総合インフレ率は6月に季節的要因による食品の値上がりで加速し、4カ月続いた鈍化傾向が止まった。アナリストらは7月のインフレ率が6.4%と、中銀が許容する2─6%のレンジの上限を突破したと予想している。

コタック・マヒンドラ銀行のチーフエコノミスト、ウパサナ・バードワジ氏は「天候不順と季節的要因による(価格)上昇のため、中銀は今後の会合でもタカ派バイアスを維持すると考えている」と述べた。一方で年内は金利が据え置かれると予想した。

中銀は成長率予想を6.5%に据え置いた。

ダス氏は「経済における需要は力強さを維持している」と指摘した。

キャピタル・エコノミクスは「追加利上げが実施されるとは思わない」とした上で「エルニーニョ現象の脅威が潜んでおり、主要新興国が緩和サイクルを開始しても、インド中銀が緩和を延期するリスクが高まっている。われわれは現在、来年初めの緩和開始を予想している」と述べた。

<約1兆ルピー吸収>

インド中銀は5月19日から7月28日までに増加した預金に対し、8月12日から2週間、10%の現金準備率を維持するよう求めた。これにより銀行システムから約1兆ルピー(120億7000万ドル)を吸収する。

ダス総裁は「この一時的な措置を行っても、経済の信用ニーズを満たすのに十分な流動性が銀行システムに存在する」と述べた。中銀は9月8日までにこの措置を見直すとした。

トレーダーは週明けから翌日物などの短期金利が上昇するとみている。

エムケイ・グローバルのエコノミスト、マダビ・アローラ氏は、中銀が現金準備率を上乗せし流動性を吸収することにより、短期金融市場で金利が小幅に上昇すると予想した。銀行の貸出マージンに「わずかな影響」が出るとみている。インド中銀、予想通り金利据え置き 流動性引き締め措置も発表

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