(Mark Wilson/Getty Images)

中国版リーマン・モーメントへの備えか 米中が経済・金融政策ワーキンググループ設立

中国の金融と経済は崩壊に直面している。米中は9月22日、公式に両国の経済・金融政策に関する2つのワーキンググループの設立を宣言した。

2つのグループは「定期的に会合を開き」イエレン財務長官と何立峰副総理に報告する。中国財政部、中国人民銀行はそれぞれ経済ワーキンググループ、金融ワーキンググループに対応する部門となる。

時事評論家は、中国経済が崩壊した時、米国および世界の金融と経済は衝撃を受けるため、西側諸国は前もって備えをして、リスクを最小限に抑えようとしていると指摘。

ワーキンググループの設立目的について、イエレン氏はXで、これらのグループは米国の利益と懸念を表明する重要なプラットフォームとなり「米中間の健全な経済競争を促進し、米国の労働者と企業に公平な競争環境を提供し、地球規模の課題に対する協力を推進する」と述べた。

財務省高官は、ワーキンググループは双方が自らの行動を説明するのに役立ち、米国が問題を提起して解決策を求めることを可能にすると語った。 同氏はまた、途上国の債務再編などの問題も作業部会の対話の範囲内であると明かした。

中国版リーマンショックの再来か

時事評論家の李燕銘氏は、米国は最近頻繁に中国と連絡を取り、複数の対話グループを設立しており、その主な目的は「中国リーマン・モーメント」による世界経済と米国経済への影響を防ぐことだと考えている。 

特に、恒大集団が予定されていた主要債権者会議を中止したことは、中国の不動産市場の問題が外部が見ているよりもはるかに深刻で、海外債務再編案は状況の悪化をカバーできないことを示した。

不動産大手が連続して債務不履行、地方債の問題も深刻化し、恒大集団、碧桂園、融創中国などの不動産開発大手が相次いで債券の利息の支払いができなくなっている。同時に、規模が人民元1兆元(約20兆円)を超え、資産運用大手の「中植企業集団」も債務不履行となった。

この背景下には、総負債額が2.4兆人民元(約48兆円)の恒大が、8月23日に債務再編の会議を計画していたものの、会期を何度も延期し、9月22日に債務再編計画をキャンセルした。これは、中国恒大が企業再建の唯一の救命策を放棄したことを意味している。これらの兆候は「中国版リーマン・ショック」が急速に迫っていることを示している。

地方債務深刻化

中国各地の地方当局の財政状況は悪化の一途をたどっている。米ゴールドマン・サックスの試算では、融資平台を含む地方政府の負債総額が94兆人民元(約1880兆円)と報じた。

北京に最も近い直轄市である天津市も、公務員の給与が払えなくなった。

最近、天津市の路線バスの運転手が「6月から給料を支給されていない」とSNSに投稿した。さらに、今年の1月1日からの残業手当や、高温の環境下での労働に対し支払われるはずの高温手当はすべて支給されていないという。

9月2日、従業員が病院で診察を受けた際、医療保険が停止されていると告げられた。

9月4日に、河南省洛陽市孟津区の教師数百人が校門の前で座り込み、未払い分も含む給与の支給を求めた。

広西チワン族自治区桂林市のラジオ・テレビ局前で、「半年間、給与が支払われていない」と横断幕を掲げて抗議する人がいた。

バイデン大統領は8月に、経済が失速している中国の状況に関して「時限爆弾」と表現した。

韓国政府も中国の金融危機が間近に迫っていると認識している。8月20日に韓国政府は、財政部の下で経済政策局内に「中国経済情勢組」を設置すると発表した。

中国経済情勢組は韓国の副首相兼企画財政部長官である秋慶鎬氏が率い、中国不動産開発企業の債務不履行の問題が韓国に与える金融リスクに密接に注目するとのこと。

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