欧州で禁止された7つの食品添加物、規制の緩い米国とは対照的な食の質(下)

臭素化植物油(BVO)

使用例:
ソーダ、スポーツドリンク

臭素化植物油(BVO)とは、その名の通り植物油に臭素を添加したものだ。乳化剤として様々な飲料に配合されている。しかし2012年、20万人以上の署名を集めたオンライン請願によって、コカ・コーラを含む多くの企業がBVOの使用を中止した。しかし、FDAが使用を禁止していないことから、多くの企業がいまだにこの乳化剤を利用している。一方、欧州連合(EU)は食品添加物としてのBVOを禁止している。

BVOは、成人の神経疾患や、動物実験では生殖への害と関連していることが、それぞれ研究で明らかになっている。

環境保護団体(EWG)はウェブサイト上で、「BVOは体内に蓄積される可能性があり、BVOを含むソーダを長期間にわたって大量に飲み続けることと、頭痛、皮膚や粘膜の炎症、疲労、筋肉の協調性や記憶力の低下といった問題との関連性が研究で示されている」としている。

FDAは2023年11月2日にBVOの食品添加物としての認可を取り消す提案を発表した。

アゾジカルボンアミド(ADA)

使用例:
パン、焼き菓子

アゾジカルボンアミド(ADA)は、様々な種類のプラスチックの製造や、小麦粉ベースの食品の漂白剤として最も一般的に使用されている。ADAが臓器や細胞毒素となる可能性があることが動物実験によって明らかにされているほか、ヒトに呼吸器合併症を引き起こす可能性があることが研究で実証されている。EUは食品添加物としての使用を禁止している。

別の研究では、ADAを含む餌を与えたマウスが「著しい行動の変化」を起こした。

臭素酸カリウム

使用例:
小麦粉、パン、焼き菓子

小麦粉ベースの食品の食感を向上させるために使用される臭素酸カリウムは、何十年もの間、活動家によって精査されてきた。

臭素酸カリウムは1999年、国際がん研究機関によって「発がん性の可能性がある」とされ、最終的に欧州諸国では使用禁止になった。この成分はカリフォルニア州でも10月に禁止されたが、法律が施行されるのは2027年だ。

臭素酸カリウムに暴露された動物において、良性および悪性の腎臓腫瘍の発生率が増加することが、研究で分かっている。さらに、臭素酸カリウムを摂取すると、マウスの甲状腺、腎臓、その他の臓器でがんが有意に増加することが研究で示された。

環境ワーキンググループ(EWG)は記事で「臭素酸カリウムが健康に有害な影響を及ぼすという重要なエビデンスがあるにもかかわらず、食品業界は長い間、焼成した製品には臭素酸カリウムの心配はないと主張してきた」と述べている。

遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rBGH)

使用例:
従来の乳製品

遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rBGH)は、牛の乳量を増やすホルモンだ。EUは1999年にこのホルモンを禁止した。

rBGHの最大の懸念は、内分泌系への影響である。一部の研究では、rBGHの使用による成長ホルモンの血中濃度の上昇と、乳がんや精巣がんなどホルモン関連のがんとの間に潜在的な関係があることが分かっている。しかし、米国がん協会によれば、rBGHとがんの関連性は決定的ではなく、さらなる調査が必要であるとしている。

サティアナラヤナ博士は、エポックタイムズに対し次のように語っている。

「この物質は、牛自身に多くの副作用を引き起こし、牛肉を食べる人間にも健康被害を及ぼす可能性がある。一般的に、EUは人間の健康への影響を防ぐため、より予防的なアプローチでこの物質を禁止しているのに対し、米国は有害な影響が出るまでは規制を待つというアプローチをとっている」

しかし、米国農務省(USDA)がオーガニック認証製品への使用を禁じているため、消費者はオーガニックの乳製品を選ぶことで、このホルモンの使用を避けることができる。

食品添加物の審査プロセス

米国の食品添加物は、その物質が専門家によって「一般に安全と認めらる(GRAS)」ものでない限り、FDAによる審査と認可の対象となる。しかし、GRAS認可の物質の使用は、メーカーの裁量で判断できるため、利害が対立する可能性がある。GRAS物質を使用する場合、メーカーはFDAの承認を得る必要はなく、その決定をFDAに通知することは任意である。

EUには「GRASの抜け穴」はないとギャリガン氏は言う。食品添加物は、使用前にEFSAによって評価され、欧州委員会によって認可されなければならない。

また、いくつかの添加物が有害であることを示唆する新たなエビデンスがあるにもかかわらず、多くの添加物は何十年もの間、FDAによって再評価されていない。FDAには添加物を再評価する権限はあるが、その義務はない。逆に、2009年1月20日以前にEUで使用が承認された食品添加物はすべて、EFSAによる再評価を受ける必要がある。

「米国と比較して、EUのシステムは一般的に、安全性の評価に最新のデータと科学的原則が使用され、産業界ではなく規制当局が最終的な意思決定者であることを保証する、より良い仕事をしている」とギャリガン氏は言う。

米国の太平洋岸北西部を拠点とするエポックタイムズのジャーナリスト。ジャーナリズムの学士号を持ち、事実に即した刺激のある健康関連のニュースを紹介することを目標としている。栄養ブログ 「Running On Butter 」の運営者。