焦点:COP28、主要議題はメタンガス削減 具体策で合意必要
[27日 ロイター] – 30日からアラブ首長国連邦(UAE)で開催される第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)では、世界で2番目に多い温室効果ガスであるメタンの削減に向けて具体的な計画を策定できるかが焦点となる。
米国と欧州連合(EU)が主導する「グローバル・メタン・プレッジ」の下、世界のメタン排出量を2030年までに20年比で30%削減することについて、21年以降150カ国以上が約束しているが、その具体的な達成方法を明らかにしている国はほとんどないのが現状だ。
COP28議長国のUAEは、今必要なのはこれらの誓約を緊急の行動に移すことだと指摘。発展途上国の取り組みに対する資金援助や、石油・ガスや農業などのメタン排出部門に対する国内規制を訴えている。
一部の石油・ガス会社はこれまでに、メタン排出量を監視・削減する自主プログラムに参加している。しかし、正式な取り組みを求めるUAEの呼びかけに、どれだけの企業が賛同するかは依然として不明だ。
UAEは石油・ガス業界に対して、30年までにメタン排出を段階的に削減するよう求めており、これまでの誓約を実行に移すための確固とした計画が最終合意に盛り込まれることを望んでいる。
UAEは各国政府への働きかけだけでなく、独立系および国営の石油・ガス会社に対し、30年までに定期的なフレアリングを廃止するよう求めている。エネルギー産業からのメタン排出量は昨年は約1億3500万トンで、前年をわずかながら上回った。
気候専門家は、法的拘束力のある合意にメタンへの取り組みを盛り込むことが優先事項だと述べている。メタンは二酸化炭素よりも温暖化効果が高いが、大気中で分解されるのに要する時間は二酸化炭素が数十年であるのに対し、メタンはわずか数年。つまり、メタンの排出を削減することは、気候変動を抑制する上でより即効性があるということだ。
世界銀行の元気候変動特使であるレイチェル・カイテ氏は「単なる誓約であれば、それは単なる雑音で終わるだろう」とし「UAEはメタン排出削減のための拘束力のある協定を締結するために、企業や国々と交渉する必要がある」と指摘した。
<メタン削減、合意気運高まる>
世銀は、2週間のCOP28期間中に独立系石油会社などの支援を得て、トルクメニスタンなどメタン排出大国である発展途上国の検知・浄化プログラムのための基金を新たに立ち上げる予定だと、計画に詳しい3人の情報筋がロイターに語った。
UAEと米国、中国はまた、世銀の計画やその他の取り組みへの資金提供について話し合うため、12月2日に世界の首脳が集まる会合を主催する予定。各国と慈善団体はこれまで、メタンガス対策に約2億ドルを拠出することを約束しているが、これは現在の気候変動資金全体の2%にも満たない。
米国のリック・デューク気候変動担当副特使はロイターに対し、「資金総額は倍以上になるだろう」とした上で「これにより、化石燃料、廃棄物、農業の各分野で実際に問題に取り組むために必要な数十億ドルを動員できる」と述べた。
世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、最近の米国との気候合意の一環として、35年の国家気候計画に初めてメタンなど二酸化炭素以外の温室効果ガスを含めると発表した。
メタンガスを監視するために、12基近くの衛星が今年打ち上げられたか、打ち上げられる予定だ。国家的な取り組みとしては、主要国のいくつかが最近、メタンガスに関する新たな規制や政策を発表、あるいは発表する見込みとなっている。
中国は今月、メタン戦略を発表。EUは30年から欧州の石油・ガス輸入にメタン排出制限を設けることに合意した。米国は12月2日に石油・ガス部門のメタン規制の最終案を発表する予定で、カナダも30年までに石油・ガス産業からのメタン排出量を70%削減する計画だ。
ワシントンDCを拠点とするシンクタンク、ガバナンスと持続可能な発展研究所のダーウッド・ザエルケ所長は「米中やEUのような主要排出国が新たなルールを発表する中、合意への機運が高まっている」と語った。