B型肝炎は、肝硬変や肝臓癌を引き起こす可能性のある、重篤で致命的な肝臓感染症です。(Val Suprunovich / PIXTA)

B型肝炎を防ぐ2つのポイント「検査とワクチン接種」(上)

B型肝炎は、肝臓のサイレントキラーとも呼ばれます。重症化しやすく、ときには致命的なウイルス感染症であり、肝硬変や肝がんを引き起こす可能性もあります。感染者のなかには、最初は自覚する症状がなくても肝臓が損傷し続けている人もいるのです。

全世界で、実は、3億人ちかくの人がB型肝炎ウイルスに感染していると言われています。米国にいるアジア系住民の中では「12人に1人」が慢性のB型肝炎に感染しているとされ、適切な治療を受けなければ、この慢性B型肝炎患者の1/4が肝硬変や肝臓がんなどの肝疾患を発症してしまいます。総合的に全世界では、肝臓がん患者の15%がB型肝炎と関連性があると言われています。

B型肝炎ウイルスが肝臓へ与えるリスクには、肝炎、肝線維化、肝硬変、肝がんの誘発などがあります。肝臓は人体にとって不可欠で重要な器官ですので、B型肝炎の感染を予防する一環として、B型肝炎ウイルスの検査及びB型肝炎ワクチンの接種は非常に重要であると言えます。

 

未治療のまま放置すると、B型慢性肝炎患者の4人に1人が肝硬変や肝がんなどの肝疾患を発症する(K.Nakano / PIXTA)

B型肝炎の予防に関する Q&A

Q 1:B型肝炎とは何ですか?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus, HBV)によって引き起こされるヒトの肝臓に傷害を与える伝染性疾患です。

人によっては、B型肝炎ウイルスにさらされて、感染に抵抗できず、一生ウイルスに感染し続けることがあります。そのような慢性B型肝炎の人は、時間の経過とともに、肝硬変や肝臓がんなど深刻な肝疾患を発症することがあります。

Q 2:B型肝炎ウイルスに感染すると、どんな症状が出ますか?

感染した場合、小児や成人のほとんどは無症状ですが、5歳以上の人で30~50%に症状が現れます。症状には、以下のようなものがあります。

• 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)

• インフルエンザのような症状(発熱)

• 吐き気や嘔吐感

• 関節痛

• 右上腹部の痛み

• 食欲不振

• 疲労感

• 便が淡色になる。尿は色が濃くなる。

このような症状が出た場合は、必ず医師に相談してください。

Q 3:B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを知る方法は?

B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査でのみ確認できます。

慢性のB型肝炎の患者は、ほとんどの場合、無症状ですが、ウイルスのキャリアであるため、他の人に感染させたり、また自身の肝臓が損傷していることがあります。そのため、全ての人がB型肝炎の検査を受け、自身のB型肝炎ウイルス感染状況を知る必要があります。

Q 4:B型肝炎のスクリーニング検査(B型肝炎ウイルス検査)とは何ですか?

B型肝炎のスクリーニング検査に必要なのは、血液検査用の血液サンプル1つだけです。この検査では、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうか、感染のリスクがあるかどうかを判定するために、3つのB型肝炎血清マーカーをすべて検査します。

この3つのB型肝炎血清マーカーとは「B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)」「B型肝炎ウイルス表面抗体(抗-HBs/HBsAb9)」「B型肝炎ウイルスコア抗原(HBcAg)」を含むものです。このなかで、B型肝炎の一般的スクリーニング検査はHBsAg(B型肝炎ウイルス表面抗原)を指します。

• B型肝炎表面抗原検査(HBsAg):これによる検査結果が陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに感染しており、血液を介して他の人に感染させている可能性があります。B型肝炎が「急性」か「慢性」であるかを判定するには、さらに検査が必要です。B型肝炎表面抗原(HBsAg)が6か月以上陽性であれば、慢性B型肝炎の感染が示唆されます。

• B型肝炎表面抗体検査(HBsAb あるいは抗HBs):これによる検査結果が陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに対する「免疫」があり、感染から保護されていることを意味します。スクリーニングを受けた人は感染していませんし、他の人にB型肝炎をうつすこともありません。

• B型肝炎コア抗体検査(HBcAbまたは抗HBc):これによる検査結果が陽性であった場合、過去または現在の時点においてB型肝炎の感染が示唆されます。

最初の2つのテスト(HBsAgおよび抗HBs)の結果を得て、初めて最終的な検査結果を知ることができます。その点を医師によく確認して、自身のB型肝炎の状況を十分に理解する必要があります。

 

(つづく)

 

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