「異常な体臭は肝臓からのSOS」睡眠と食事で改善できます(1)

肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。
そこに重大な問題があっても痛みなどを発せず、病根が発見されたときはすでに重症化していることが多いからです。

 

「沈黙の臓器」が発するSOS

しかし実際には、肝臓に何らかの問題があって肝機能が低下すると、体や口から普段と違った臭いがするなど、異変を警告する信号が送られているのです。

もしも体臭や口臭がひどく、腐ったような臭いであれば、まずは肝臓に異常があることを疑ってください。

健康である場合、人の汗そのものは無臭です。いわゆる汗臭さというのは、皮膚表面の細菌が汗を分解することで発せられる体臭です。

汗臭さとは違って、腐ったような臭い(または甘酸っぱいような発酵臭)であれば、それは肝臓の病気が発する「警告の信号」かもしれません。

 

「腐ったリンゴの臭い」に要注意

叡鳴堂漢方クリニックの院長、呉宛容氏は、次のように言います。

「肝臓は人体の毒素を処理し、分解する器官です。肝臓機能が正常な時は、排せつによって毒素を体外に排出します。しかし、肝機能障害によって毒素の排出が妨げられると、血液中のアンモニア尿素窒素が増加します。アンモニアは刺激臭のガスであるため、呼吸により口や鼻、毛穴から排出されます。これが腐ったような口臭や体臭となるのです」

そのため、体や口から「腐ったリンゴのような臭い」がする場合は、急いで肝臓の検査を受けることをお勧めする、と呉氏は言います。

お酒が好きであったり、喫煙や、台湾の嗜好品である檳榔(ビンロウ)を噛む習慣をもつ人もいますが、いずれも肝臓の負担を高めます。このような好ましくない生活習慣がある人は、総じて肝臓機能が弱っており、口臭や体臭がひどい場合が多いのです。

 

肝臓は体内デトックスの要

肝臓は体内デトックス(解毒)の要となる臓器です。
肝機能が低下することは、まさに毒素の排出ができなくなることであり、体にとっては一大事なのです。そのため、体臭が変化するだけでなく、重症度に応じて様々な異常が現れます。

漢方でいう「肝血虚(かんけっきょ)」とは、肝臓の血が不足することを指します。
それにより髪や目が乾燥し、白髪が多くなります。また、視力がぼんやりし、手足がしびれやすくなります。

また「肝火旺(かんかおう)」は、のぼせやイライラがつのり、体上部に熱がこもっている状態です。そのため癇癪を起こしやすくなり、口が乾き、血圧も高くなります。頭が膨れて痛み、口臭などの肝疲労の症状も現れます。

さらに「のぼせ」がひどくなると、脳神経が不安定になり、不眠や悪夢が多くなります。

呉氏によると、「一部の人は夜、睡眠中に歯ぎしりをしたり、寝言を言ったりします。回数が少なければ問題ないのですが、1週間に4日以上も同じような状態がみられた場合は、肝臓が炎症を起こしています」と言います。
(次稿に続く)
(翻訳編集・鳥飼聡)

蘇冠米