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研究:低炭水化物・高タンパク質の食事が代謝の健康を改善

最近の研究によると、炭水化物をタンパク質と脂肪に置き換えることで健康指標が改善されることが分かりました。

この研究は2件の臨床試験に基づいており、低炭水化物・高タンパク質の食事をとった人々は、体重が大きく減らなくても血中脂質が大きく改善し、肝臓の脂肪も明らかに減少したのです。
 

低炭水化物・高タンパク質食で血中脂質改善と肝脂肪減少

デンマークで実施され、『American Journal of Clinical Nutrition』に掲載されたこの研究は、約100名の参加者を無作為に「低炭水化物・高タンパク食」または「一般的な糖尿病食」に分け、6週間実施しました。

最初の試験ではカロリー制限を設けず、2つ目の試験ではカロリー制限を行いました。

低炭水化物食では炭水化物を抑え、健康的な脂肪と脂身の少ないタンパク質を摂取し、体重を維持しながら規則的に食事や間食をとることが求められました。

低炭水化物食の参加者は「炭水化物30%・タンパク質30%・脂肪40%」の比率で食事をとり、一般的な糖尿病食(炭水化物50%・うち40%以上が食物繊維、脂肪とタンパク質は少なめ)に比べて血中脂質が有意に改善しました。

食事例では、一般的な糖尿病食の朝食がパン、チーズ、バター、ジャム、牛乳、果物であったのに対し、低炭水化物食では果物を含まず、パンとヨーグルト、卵、アボカド、キュウリ、マヨネーズを組み合わせていました。

高タンパク食をとりながらカロリー制限をしなかった人々では、血中脂質が33%低下し、悪玉コレステロール(LDL)粒子が16%減少しました。悪玉コレステロールは心臓病リスクを高めるコレステロールの一種です。善玉コレステロール(HDL)は10%増加し、血中脂質の状態がより良い方向に変化していることが示されました。これに対して一般的な糖尿病食では同様の改善は見られませんでした。

カロリー制限を行った被験者では、研究期間中に高タンパク食と一般的な糖尿病食の両方で体重が6%減少しました。この体重減少は血糖コントロールの改善と関連しています。

しかし、高タンパク食グループでは血中脂質と悪玉コレステロールも低下しました。

高タンパク食は肝臓の脂肪も減らしました。カロリー制限を行わなかった参加者の肝臓脂肪は55%減少し、減量グループでは26%の減少でした。

肝臓脂肪の減少は代謝の健康全般を改善する助けとなり、肝臓脂肪の増加はインスリン抵抗性と関係しています。

2つの研究はいずれも、高タンパク食グループの血中脂質改善が肝臓脂肪の減少と関連していることを示し、食事、肝臓の健康、血中脂質の関係を明らかにしました。

研究者は、低炭水化物食による代謝改善が、血糖値の低下によってインスリン分泌が減ることと関係していると推測しています。

世界的に2型糖尿病が増加している中で、この研究結果は有効な食事管理の参考になる可能性があります。

ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校 医学部内分泌科主任のシルヴァナ・オビチ博士(本研究には不参加)は、食事の質の重要性を強調しました。

「人は栄養素そのものではなく、食べ物を口にしています。栄養指導は実際に食べる食品に基づくべきです」と述べ、三大栄養素の比率だけでなく、その種類や質に注目すべきだと指摘しています。
 

同じ種類の食べ物でも「まったく異なる」影響をもたらす可能性

炭水化物にはさまざまな食べ物が含まれます。パスタやパンといった精製食品から、豆類、全粒穀物、果物といった栄養豊富な食品まで多岐にわたります。オビッチ氏は、これらの食品は同じカテゴリーに分類されているものの、健康への影響はまったく異なると述べています。

さらに彼女は、食事に含まれる脂肪について説明を加えました。脂肪には種類が多く、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む動物性脂肪から、魚、ナッツ、種子、アボカド、オリーブオイルといったより健康的な選択肢まで幅広く存在します。彼女は、この研究では炭水化物や脂肪の種類を区別していないと指摘しました。

オビッチ氏はエポックタイムズへのメールで次のように述べています。「この短期研究では炭水化物や脂肪の種類の違いは検討されていません。私の考えでは、健康的な栄養とは、主要栄養素の種類と質を重視すべきです。単糖や精製炭水化物ではなく、豆類、でんぷん質の野菜、全粒穀物、果物に含まれる炭水化物を優先すべきです」

また彼女は特に、脂肪については飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む動物性脂肪の摂取を減らし、魚やナッツ、種子に含まれる健康的な脂肪を選ぶべきだと強調しました。

オビッチ氏は、減量が糖尿病の管理にとって極めて重要であると強調しています。たとえ短期の研究であっても、食事構成にかかわらず減量が明らかな効果をもたらすことを示していると述べました。彼女は、健康的な体重を維持することが2型糖尿病患者の長期的な健康にとって重要な戦略であると強調しています。

(翻訳編集 華山律)

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。