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高たんぱく食は老化を招く? 栄養士が教える正しい食べ方

近年、高たんぱく食がブームとなり、筋肉を増やしたい人、体重を減らしたい人、あるいはサルコペニア(筋肉減少症)を予防したい人まで、多くの人が「たんぱく質を多く摂ること」を健康の基本と考えています。中には、減量のために主食をまったく摂らず、高たんぱくドリンクだけに頼る人もいます。しかし、栄養士は警告します。たんぱく質を過剰に摂取したり、摂取源が偏っていたりすると、健康効果が得られないどころか、かえって逆効果になるおそれがあります。

高たんぱくで老化しやすくなる?

たんぱく質は、体の機能を維持し、組織を修復し、筋肉量を保つために欠かせない栄養素です。台湾の「可苡栄養コンサルティングセンター」の栄養士・張維浚氏は、「高たんぱくであること自体が問題なのではなく、老化リスクを高める主な原因は『加工肉の過剰摂取』と『高脂肪』にあります」と指摘しています。

ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉には、防腐剤や亜硝酸塩といった添加物が含まれており、これらは発がんリスクと関連しています。さらに、赤身肉に多く含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎると、体内の酸化ストレスや慢性炎症を引き起こし、健康を損ない老化を早めてしまいます。

張氏は、魚や鶏むね肉などの低脂肪の白身肉、そして豆腐や高野豆腐などの植物性たんぱく質を選ぶよう勧めています。また、個人の活動量や体重に応じて摂取量を調整し、たんぱく質の摂りすぎを避けることが重要です。
 

なぜ高たんぱく食で「脂肪が増える」ことがあるのか?

たんぱく質は満腹感を持続させ、筋肉を維持する働きがあるため、減量には役立ちます。しかし、張氏は「その効果は『運動をしていること』と『十分な炭水化物を摂っていること』が前提です」と強調します。

「筋肉を動かすためには、グリコーゲン(糖原質)がエネルギーとして必要であり、その供給源は炭水化物です」と説明します。たんぱく質だけを摂り、炭水化物を完全に抜いてしまうと、体はたんぱく質を筋肉の生成ではなく、エネルギー供給や組織修復に優先的に使ってしまいます。その結果、筋肉がつきにくくなり、さらに高脂肪の肉類を選んでいる場合は、かえって脂肪が蓄積されやすくなります。
 

植物性たんぱく質は健康に有益 老化を遅らせる

台湾の衛生福利部(日本の厚労省に相当)による食事ガイドラインでは、以前の「卵・豆・魚・肉類」から「豆・魚・卵・肉類」へと順序が変更され、豆類たんぱく質が最優先とされています。

張氏は、「動物性たんぱく質は筋肉をつくる効率が高いものの、健康維持や慢性疾患の予防という観点から見ると、植物性たんぱく質のほうが優れています」と話します。長期的に見れば、植物性たんぱく質のほうが理想的な選択です。代表的な植物性たんぱく源としては、豆腐、高野豆腐、絹ごし豆腐などの大豆製品があります。

また、植物性たんぱく質には食物繊維やフィトケミカル(植物化学物質)が豊富に含まれており、抗炎症・抗酸化作用を持っています。さらに腸内環境を整え、免疫機能をサポートします。腸内細菌のバランスが良ければ、老化の進行を遅らせ、慢性疾患のリスクを下げることができます。
 

低炭水化物食は死亡リスクを高める

減量目的で「低炭水化物食」や「ケトジェニックダイエット」を実践する人も多いですが、張氏は、極端に炭水化物を減らすと死亡リスクが上昇すると注意を呼びかけています。炭水化物の摂取が極端に少なくなると、体はエネルギー源として脂肪やたんぱく質を利用し始めます。その結果、脂質の摂取量や代謝の負担が増加します。

また、短期的には低炭水化物食で体重がすぐ減るように見えますが、それは主に水分とグリコーゲンの減少によるもので、脂肪が燃焼しているわけではありません。長期間続けると、エネルギー不足や集中力の低下、ホルモンバランスの乱れを招き、特に女性や高齢者には悪影響を及ぼします。

張氏によると、理想的な栄養バランスは「1食あたり炭水化物が総エネルギーの50%を占めること」です。炭水化物は、脳の働きや筋肉の動きに欠かせないエネルギー源です。炭水化物が不足すると、体力が落ち、免疫力が低下し、病気や死亡のリスクが高まります。

健康的な炭水化物の選択肢としては、さつまいも、里芋、とうもろこし、玄米などの「複合炭水化物」が推奨されます。これらは食物繊維やフィトケミカルが豊富で、血糖値を安定させ、満腹感を持続させる効果があります。

運動量が少ないデスクワーカーには、「2:1:1食事法」がおすすめです。すなわち、炭水化物2:野菜と果物1:たんぱく質1 の割合です。野菜にも炭水化物が一部含まれており、食物繊維の摂取量を増やしつつカロリーを抑えられるため、理想的な体重維持に役立ちます。

健康で若々しくありたいなら、重要なのは「たんぱく質をたくさん食べること」ではなく、質とバランスの良いたんぱく質を摂ることです。炭水化物と脂質を上手に組み合わせ、極端な食事を避け、バランスの取れた食習慣を身につけることが、健康的な体と老化を遅らせる秘訣となります。

(翻訳編集 解問)

認定パーソナルトレーナー。個人に合わせた運動プログラムを開発および実施するための米国運動評議会の要件をすべて合格。ナチュラルスキンケア製品のマーケティングマネージャーとして経験を積み、健康と美容のレポーターおよび編集者として10年以上勤務。YouTube番組「Amber Running Green」と「Amber Health Interview」のホスト兼プロデューサー。