クルミは、その形が人間の脳に似ていることで知られ、自然から与えられた脳を補い知恵を授ける、長寿のナッツとして知られ、特に高齢者や学生に最適です。巷では「力の実」とも称し、筋肉を強くし、力を付けることができると言われています。その知恵を増す効能は、その腎を補い、陽を強くする能力に由来します。
中医学の『内経』によれば、腎は骨を司っています。脳髄と骨髄の生成は腎の機能であり、腎の気が十分にあれば脳髄と骨髄は充実し、自然に脳を補い知恵を授け、筋骨を強くすることができます。
逆に、腎の気が弱く寒ければ思考力が減退し、腰や膝が痛み、足が重く、力が出なくなります。クルミは腎を補い陽を強くし、人体の先天的な元気である腎の気を保護し、脳の健康と、骨の強さを強化します。
張錫純の『参西録』では、「クルミは肝と腎を補い、筋骨を強くするための重要な薬で、だからこそ、腰痛や脚痛、すべての筋骨の痛みを治療する効能を持ち、その腎の補いの能力により、歯を強くし、髪を黒くし、虚弱や喘息、気が元に戻らない症状、下焦(げしょう:一般に幽門(胃の下口)以下の部位と臓腑を指す。腎、膀胱、小腸、大腸を包括する)や(腎)の虚寒、頻尿、女性の不正出血等の症状を治療することができる」と述べられています。
その理由は、それが「命門(腰にある経穴)を通じる」能力があるからです。これはクルミが他の堅果とは異なる最も貴重な特性です。それが腎の気に陽の火の気を注入することができるのです。
命門のツボは腎を通り、元気と精気を封じ込める関口であり、腎関とも呼ばれ、この関口を通過することができれば、クルミの温かい陽の気を腎経に補充し、陽を強くし、気を補う効果を発揮することができます。
古代の神医は多くが修道者であり、天眼が開かれると人体スキャナーのように人体を透視できるようになり、腎の中に封じ込められている真の陽の火を見ることができました。水性の腎の気が温和で力強く、人体の五臓六腑を組み合わせた全体の経絡気機のエネルギーを、正常に回復することができるのです。
腎の気は腎部の経脈を流れるエネルギーです。人体の経脈を電気回路にたとえるならば、腎部は電気エネルギーのエンジンであり、腎の中の真火の気は鍋底の火のようなものです。その火が活発に燃えている限り、腎の気が先天的に持つ推進力を発動させ、下から上へと進み、肝、心、肺を温め、五臟六腑の全ての経脈がスムーズになり、正常な運転を回復します。
そうすると、心臓系統の火の気は肺の経脈を下って行き、再び下の腎経に戻ることができます。これがクルミが「気が元に戻らない」症状を治療する原理です。
「気が元に戻らない」とは、心の火や他の火の熱エネルギーが腎部に下降回帰できず、腎の気が火を欠いて滞り、経脈の電気回路を正常に推進できず、腎の気が管理する機能が弱くなるからなのです。
腰膝(こしとひざ)が自然に寒く痛んだり、頻尿、女性の帯下等の症状が発生します。「気が元に戻らない」ことは、ただ思考力が不足し、筋肉が力を持っていないという問題だけではありません。
クルミの最も重要な効果は、腎を補い、陽を強くし、火を元に戻すことができることです。これにより、腎の気が五臟六腑の全ての経絡に原始的な推進力を回復し、気血を調和させ、陰陽のバランスをとり、人体の全ての機能を全面的に回復することができます。
明代の李時珍の『本草綱目』によれば、クルミの実には「気を補い、血を養い、燥熱を潤し、痰を化す、命門を益し、三焦を治し、肺を温め、腸を潤し、虚寒に喘ぐ咳を治し、腰足の重痛を治す」等の効果があります。
ここでも命門を益すると記されていますが、これは腎の陽の気を補うことに有益であるという意味です。これは、上部では肺を潤し喘息を止め、中部では腸を潤し便通を良くし、下部では腰足が重く痛みがあり力がないという原因を治療することができるのです。元気を補充し、陽の火を注入すると、人体の経路(電路)を強力に開通させ、五臟六腑は自然と各自の機能を回復します。
一粒の小さなクルミが頭から足まで全てを整えることができる、それは驚くべきことではないでしょうか?
普段は白米に入れてクルミ粥を作ることができます。
白米は胃を養い、気を補い、百脈を通す効果を持つので、先天的な基本である腎と後天的な基本である脾胃を一緒にケアすれば、その力は倍増し、精力が充実し、寿命が延びます。
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