3月7日、台湾国防部(国防省)は、中国が台湾を消耗させる「グレーンゾーン」戦術を強化し、周辺地域を気球や無人機(ドローン)、民間船で埋め尽くそうとしていると、立法院(国会)に送付した報告書で指摘した。写真は中国の沿岸警備隊の船。中国の福建省福州市付近で昨年4月撮影(2024 ロイター/Thomas Peter)

台湾国防部、中国が消耗戦略強化と指摘 周辺「埋め尽くす狙い」

Yimou Lee

[台北 7日 ロイター] – 台湾国防部(国防省)は7日、中国が台湾を消耗させる「グレーンゾーン」戦術を強化し、周辺地域を気球や無人機(ドローン)、民間船で埋め尽くそうとしていると、立法院(国会)に送付した報告書で指摘した。

ロイターが入手した報告書によると、国防部は中国側が巡視船や哨戒機を増やすなどして「多方面から」消耗戦略を展開し、台湾海軍や空軍の負担を増やして台湾海峡の中間線を曖昧にすることを狙っていると主張。

また、中国が調査船や民兵の船も動員し、民間人の活動を装いながら軍事活動を行っているとした。

中国国務院(内閣に相当)台湾事務弁公室はコメントの求めに応じていない。

中国の脅迫に対抗するため、台湾側はインフラの強靭性を高め、演習を実施するなどして衝突が長引いても台湾軍が機能を続けるための取り組みを進めているとした。

中国との長期戦に耐えられるよう武器や燃料を備蓄しているとも明らかにした。

紛争勃発後に中国が台湾を迅速に掌握し、外部からの介入を防ごうとできないよう台湾の指揮系統を多様化し、より機動的で長距離の兵器や人工知能(AI)を取り入れようとしているとしたほか、米国を含む民主主義同盟国との「つながり」を強化していると説明した。

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