「非定型麻疹」
米国で最初に認可された麻疹の不活化ワクチンは、4年間(1963〜1967)使用した後、一時的な免疫しか得られないことが判明した。後に麻疹に感染したワクチン接種児が「非定型麻疹」として知られる重篤な反応を示したため使用中止となった。
これは新型コロナウイルス感染症の場合とよく似ている。新型コロナでは、最新のワクチン接種を受けた子供ほど感染しやすいことがわかった。
1967年のJAMAの研究では、麻疹ウイルスの不活化ワクチンを接種した10人の小児が、5〜6年後に非定型麻疹を発症したと報告している。
この病気は2〜3日の激しい発熱、頭痛、筋肉痛や腹痛を引き起こす。頭痛の程度は中枢神経系の関与を示唆することが多い。脳機能障害は、脳波計で電気活動の乱れが認められた患者1人が示した。ほとんどすべての小児が浮腫や肺炎など重篤な合併症を経験した。
発疹は自然麻疹の発疹とは明らかに異なっていた。自然麻疹の発疹は通常まず顔に現れ、首、胴体、腕、脚、足へと広がっていくが、非定型麻疹の発疹パターンは通常、逆の順序で現れる。一般に足首や手首などの四肢遠位から始まり、手のひらや足の裏へ、それから体幹に広がる。顔には影響を及ぼさないことが多い。
これらの症状は、注射された麻疹ワクチンに対する急性の播種反応を示唆している。
症例の中には、ワクチン接種から数年後に重症の非定型麻疹を発症したり、肺炎と異常な発疹で入院した6歳の女児がいた。発疹は、1961年に麻疹の不活化ワクチンの筋肉注射を行なった部位と考えられる右臀部に集中して進行した。
現在の麻疹ワクチンは、もはや不活化ワクチンではなく生ワクチンだと言う人もいるかもしれない。しかし、非定型麻疹の現象から得られる重要な洞察は、私たちの免疫システムがウイルスと戦う自然な方法をワクチンが妨げ、好ましくない結果を引き起こす可能性があるということだ。
2018年のPLoS Oneの研究では、麻疹ワクチンを接種した12〜23カ月の小児に麻疹のリスクを示している。論文では、それらの画期的な症例の正確な診断はなかったが、2006年から2009年にかけてインドで発生したいくつかの集団感染でも、非定型麻疹の症例が報告されている。
敵か味方か?
麻疹ウイルスに暴露された小児の麻疹抗体の投与は、麻疹発症の回避を目的としており、1960年にはすでに報告されていた。当初この方法は成功したと思われたが、それはこれらの小児が感染によく見られる発疹を発症しなかったからだ。
同様に、最初のバージョンの弱毒化した麻疹ワクチンに関連する症状軽減のために、医師はしばしば麻疹特異的抗体(免疫グロブリン)をワクチンと一緒に投与した。この方法は、発熱や発疹といった生きたウイルスに対する明らかな反応を軽減する一方で、深刻な結果をもたらす可能性があった。
1985年のランセット誌の研究では、注射した麻疹抗体と長期にわたる予期せぬ免疫障害が有意な相関関係を示している。
麻疹を予防するために、麻疹ウイルスに暴露された後に麻疹抗体を注射した子供たちは、結果的に麻疹感染の典型的な徴候の発疹は見られなかった。しかし、麻疹で発疹が出なかったことで、成人になるまで長期にわたり免疫障害を引き起こす可能性がある。
この研究では、麻疹ウイルス感染時に抗体を注射すると、体の自然免疫やT細胞がウイルスを殺すのを妨害すると述べている。その結果、ウイルスが生き残り、体内に潜伏したままになる可能性がある。著者は、麻疹にかかった後に免疫グロブリンを使用しないよう注意を促している。
関連する免疫疾患には、関節炎、エリテマトーデス、多発性硬化症、心膜炎、甲状腺炎、結合組織病、クローン病、脂漏性皮膚炎、骨変性疾患、特定の腫瘍などがある。
麻疹の発疹は、身体の免疫、特にキラーT細胞免疫が麻疹ウイルスと効果的に戦っていることを示す重要なサインだ。T細胞免疫は、粘膜バリアを越えて体内に侵入するウイルスと戦う上で極めて重要である。
同様に、ワクチンによって生成された抗体は、私たちの身体に害を与えたり、自然免疫を妨害する免疫反応を引き起こす。このような免疫調節の異常は、ワクチン接種後の非定型麻疹や関連する合併症の一因となる。
一方、伝統的な中国医学(中医学)では発疹に対する考え方が異なり、治療のアプローチも異なる。中医学の理論によると、麻疹は子宮内で発生した「胎毒」が妊娠中に赤ちゃんに移行し、後に発疹や水疱として身体に現れると考えている。
発疹が完全に表れることが、子供の完治と免疫には不可欠だ。カナダのジョージアン・カレッジで中医学を教えるジョナサン・リウ博士は次のように述べている。
「中医学者は、麻疹の発疹が体幹から手のひらまで完全に広がるように、主に升麻(しょうま)と葛根(かっこん)という薬草をよく使う。この目標の達成が自然回復の表れだ」
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