2017年1月18日,カナダの著名な投資家、ケビン・オレアリー(Kevin O'Leary)氏(加通社)

カナダ著名投資家が警鐘を鳴らす:TikTok買収に伴う課題と挑戦

3月13日、米国連邦議会・下院は、中国のテクノロジー企業バイトダンスByteDance)が運営する動画サービス「ティックトックTikTok)」に関する法案を可決した。

続く3月14日には、O’Leary VenturesのCEOであり、カナダの著名な投資家で富豪でもあるケビン・オレアリー氏がTikTokの買収に興味を示した。ただし、これについて米議会は「TikTokの中国の母体企業に対して、その所有権制限を実効あるかたちで課すことができる場合に限られる」と述べた。

フォックスニュースの報道によれば、オレアリー氏は「私以外にも、元米国合衆国財務長官スティーブン・ムニューシン氏を含む潜在的な買収者(買収を希望する者)がいる」と言及し、以下のような警告を発した。

オレアリー氏によると、中国のTikTok所有者が、そのアルゴリズムを米国側の運営チームに売却する可能性は極めて低い、というのである。これは、UX(ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験)を損なうことなくユーザーベースを保持するとともに、情報収集のための悪意ある使用にひっかからない方法を、米国の買収希望者の側が検討しなければならないことを意味する。

「私たちは皆、同じ挑戦に直面している。これらのデータの取り扱い方については、まだ解決されていない。データが米国のサーバー、特にテキサスにあるオラクルのサーバーに保存されていることは良いニュースだが、TikTokを動かしているアルゴリズムについては不明だ。それらは恐らく米国側には提供されないだろう」とオレアリー氏は述べた。

オレアリー氏はさらに、中共政府がTikTokの親会社であるByteDanceのような企業による独自の技術の売却を禁止する法律を制定していることを指摘し「これが米国の買収希望者にとって、買収に要する全費用を見積もることを困難にしている」と言及した。

オレアリー氏は、ソーシャルメディア分野における最近の大規模な所有権変更の例としてTwitter(現X)の買収を挙げ、イーロン・マスクによるTwitterの買収後、数百億ドルの市場価値が失われたと述べた。

オレアリー氏は「Xは今も非公開だ。もし今、公開されたら、その株価は60%も下落するかもしれない。なぜなら、彼らはまだ、そのアルゴリズムの変更を試みているからだ」という。

「真の挑戦は、すべてのユーザー、500万の中小企業、そしてすべての広告主に対して、この新しいコード、新会社、新しい米国版のTikTokを受け入れてもらうことだ。だからこそ、この取引を支える適切なパートナー選びが非常に重要になるだろう」

オレアリー氏はそう説明したうえで、この種の商業活動に精通している名プレーヤーである同氏は「さあ、競争を始めよう」と宣言した。

オレアリー氏は、「ミスター・ワンダフル」や「メープルマン」としても知られるカナダの実業家、投資家、ジャーナリスト、テレビパーソナリティである。

同氏は2004年から2014年まで、複数のカナダのテレビ番組に出演し、2009年以降は米国のリアリティーショー「シャークタンク」に参加している。これは、起業家たちが投資家に自らのビジネスプランをプレゼンテーションする英国の番組「ドラゴンズ・デン」の米国版である。

関連記事
5月14日、メリーランド州、ネブラスカ州、西バージニア州で民主党と共和党の初選が行われた。前大統領ドナルド・トランプ氏と現職大統領ジョー・バイデン氏は選挙戦でいくつかの警告信号に直面したが、全体的な状況は安定していた。5月14日予備選挙のハイライト
反ユダヤ主義に対抗することを目的とした法案が米国下院で可決され、憲法修正第一条の権利に影響を及ぼす可能性について党派を超えた議論が巻き起こっている。反ユダヤ主義啓発法として知られるこの法案は、5月1日、321対91の賛成多数で米下院を通過した。
連邦裁判官は、ウィスコンシン州の在外不在者投票における証人の署名要求が連邦法に反するとする訴訟を棄却した。
ノースカロライナ州マチュース。 ドナルド・トランプが大統領選で共和党の推定候補者となって以来、全米世論調査での彼のリードは強くなっている。大きなアドバンテージを持つノースカロライナ州の地元保守派は、草の根運動の欠点を懸念している。
ニュージャージー州ワイダーウッド、前大統領ドナルド・トランプは5月11日、ビーチでの珍しい演説に数万人のファンを集めた。民主党が優勢とされるこの州で、共和党候補がこれほど多くのファンを集めたのは歴史的な偉業だと言える。