イスラエル南部の村のそばに設置されているアイアンドームミサイル防衛システムのランチャー(Photo by AHMAD GHARABLI / AFP)

イランミサイル攻撃の99%が迎撃された事が示す台湾が学ぶべき教訓

イランイスラエルへ発射した約300発のミサイルドローンのうち、99%がイスラエルとその同盟国によって迎撃、撃墜された。専門家はこの事例が、台湾にとっても有益な教訓になると指摘している。

4月13日夜、イランは自国からイスラエルに向けて約300発のミサイルとドローンを発射した。イスラエル軍はもちろん、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダンの軍隊も迎撃作戦に参加し、99%のミサイルとドローンを撃墜した。

イスラエル軍の報道官ダニエル・ハガリ氏によると、イランは170機のドローンと30発の巡航ミサイルを発射したが、どれもイスラエル領内への侵入は阻止した。またイランが発射した110発の弾道ミサイルは、ごくわずかしかイスラエルに到達しなかった。

イスラエルがイランの攻撃に対してどのように対処したかは、台湾海峡をはさんで対峙する両岸の軍事関係者にとって重要な参考資料となるだろう。

台湾の国防安全研究院における国防戦略と資源研究所の研究員であり所長を務める蘇紫雲氏は、メディアの大紀元のインタビューで、アメリカとその同盟国がイランのドローンに対して実施した対策は成功裏で、台湾海峡の防衛戦略にとって有益で参考になると語った。

蘇紫雲氏は次のように述べている。

「イラン陸軍は、イスラエルへの直接攻撃ができないため、ミサイルやドローンを用いた攻撃に頼っている。これは台湾海峡の現状とも類似しており、中国が台湾に対して攻撃を行う場合、ドローンやミサイル作戦が先鋒となるだろう。イスラエルが多くの脅威を迎撃した成功事例を踏まえると、台湾もこれらの経験を生かせるだろう」

台湾国防研究院の作戦概念研究所の所長、欧錫富氏は、将来台湾海峡での戦争が発生した場合、台湾は中国の東風ミサイルシリーズへの対応や、ドローンの増大する脅威にも注意を払う必要があると指摘している。

中国共産党は一度に数百台のドローンを使用でき、それによって台湾の防空システムが圧倒される恐れがあるとの見解を示している。

しかし、欧錫富所長はドローンは精密に作られていないため、簡単に反撃できると考えており、台湾とその同盟国は中国共産党のドローンの脅威を効果的に抑制できると指摘している。

上海の軍事アナリスト、趙楚氏は中央通信社に対し、台湾が直面する主要な作戦任務はイスラエルのそれと非常に似ていると語った。ウクライナ、イスラエルの戦争は、将来台湾の軍事開発と台湾海峡の戦術に大きな影響を与えるだろう。

つまり、敵に決定的な打撃を与えるような「切り札」となるミサイル武器は効果が期待できないはずだ。防御を優先し、高度に情報化された戦場の監視と制御システムが「コストパフォーマンスに優れている」との見解である。

趙氏は、このような結果とロシアとウクライナ戦争の状況を踏まえ、中国共産党は装備から戦術に至るまで調整を行うはずだが、それには数年の時間がかかるだろうと述べている。

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