別府昭子さんは義父と実父母の介護を経験し、3人の年長者の介護を30年間続けてきました。 彼女の経験は日本では珍しいものではありません。彼女が博士号取得のための勉強に復帰したのは、介護者としての役割を終えてからでした。 特別なのは、同じ境遇にある女性たちを思いやり、「がんばらない介護生活を考える会」を設立したことです。
30年の介護生活を振り返ると、最も困難だったのは、一時期、ろうそくの両端を燃やすように過ごしたことです。その時、子供はまだ小さく、周囲から良い嫁と見られたいと思い、子供と自分自身を犠牲にしました。その罪悪感と後悔は今でも心に残っています。
「がんばらない介護」とは、怠けることでも被介護者を見放すことでもありません。むしろ、希望を捨てないことです。自分の精神や体力を過労にしないことで、心身ともに安定し、被介護者も安定し、介護の質も向上します。
諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏も「がんばらない介護生活を考える会」の委員であり、台湾を訪れた際に『康健』雑誌のインタビューで説明しました。「介護とは、『諦めないこと』と『過度にならないこと』の間でバランスを取ることです。常に全力で介護を続けることはできません。適度で適量の介護こそが最善の方法であり、長続きするのです」
しかし、介護者の悩みは介護そのものだけではありません。他人から無意識に発する言葉がさらにストレスとなりました。
介護者がすでに非常に一生懸命介護しているのに、高齢者の状態が改善するどころか悪化する場合があります。これは老化の現実ですが、心は苦しいものです。そんな時に「頑張って!」と言われると、「今の介護が足りないからもっと頑張れ」という意味に聞こえ、非常に聞き苦しく感じます。
さらに、介護者が休暇を取ったり旅行に行くと、「お母さんが病気なのに、どうして外出するの?」と言われることもあります。介護者は犯罪者ではないので、堂々と息抜きの時間を持つべきです。自分の趣味や友人関係を諦める必要はありません。在宅サービスやショートステイサービスを上手に利用したり、親戚や友人の手を借りたりすることで、介護者は介護を続ける力を得ることができます。
がんばらない介護の六つの原則
「がんばらない介護生活を考える会」はインタビューで、無理せず介護するための6つの原則を提案しました。
1. 一人で問題を解決しない
少人数家族の時代、高齢者の介護は一人、一家族では十分ではありません。必要なときに助けを求め、助け合い、困っている人がいたら助け合いましょう。
2. 積極的にサービス、補助具、介護製品を利用する
可能な限り政府の各種介護サービスを利用します。例えば、遠出する際にはショートステイサービスを利用し、おむつやベッドの手すりなど被介護者が安心して眠れる製品を活用しましょう。
3. 様々な専門家に相談する
悩みを打ち明けることは、「がんばらない介護」の第一歩です。ケースマネージャー、認知症専門医、神経科専門医、精神科専門医に介護の悩みを相談したり、家族に介護費用を相談したり、介護で悩んだら介護支援センター等のへ電話をし相談するのも良いでしょう。
4. 楽な介護方法や認知症についての知識を得る
楽な介護方法を学ぶことで、心身の負担を軽減し、介護による腰痛を予防できます。また、認知症について理解し、対応方法を知ることで問題行動を防ぐこともできます。知識は力であり、介護は世界共通です。
5. 満点を目指さない
介護は仕事ではなく、生活です。生活には良い時も悪い時もあり、苦楽があります。専門家のアドバイスを参考にし、自分の家族に合った介護の方法を見つけましょう。
6. 自分を犠牲にしない
介護が犠牲になると、恨みが生まれます。命に別状がなければ、気楽にやれば良いのです。あなた以外に、誰もあなたのことを心配してくれません。自分のための時間やお金を恐れずに使いましょう。
介護はジャグリング(巧みに操る)のようなもので、親や子供、社員、看護師、介護サービス員、ケースマネージャー、リハビリテーション師など、様々な役割を同時に果たさなければなりません。心身が疲弊するのも一瞬です。無理せず介護をし、第二の被介護者にならないようにしましょう。
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