日中韓首脳会談の最中、中国共産党は東シナ海に無人偵察機を飛来させた(航空自衛隊)

“未来志向”の日中韓共同声明…いっぽう中国共産党は「攻撃型無人機」東シナ海に飛来させる

27日、4年半ぶりとなる日中韓首脳会談がソウルで開催され、3か国間の未来志向の協力推進が確認された。岸田文雄首相は学生交流プログラムなどに言及し、「困難なときこそ相互理解を推進する」人的交流が重要であるとのメッセージを発信した。

だが、平和的交流を掲げた共同声明が出された当日、中国共産党軍が軍事的挑発行動に出た。防衛省統合幕僚監部の発表によると、中国軍の無人偵察機WL-10が東シナ海上空の日本防空識別圏内を飛行した。航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させ、警戒監視にあたった。

WL-10は攻撃能力も有する軍用無人機で、機体の大きさは小型ジェット機並みだ。防衛省によると、この無人機は中国大陸から飛来し、東シナ海上空を少なくとも2周した後、大陸の方角に引き返した。

中国軍の無人機はこれまでに4種類確認されているが、日本の防空識別圏でWL-10が確認されたのは今回が初めて。

今年3月にも、中国軍の別の無人偵察機が日本の周辺海域を飛行し、自衛隊機が緊急発進する事案があった。中国は東シナ海から太平洋へ抜ける戦略的なルート上で、無人機を使った情報収集活動を活発化させている。

いっぽう、北朝鮮も同日、弾道ミサイルを発射。沖縄上空を通過すると見られたため、政府は一時Jアラートで避難を呼びかけた。日中韓共同声明に盛り込まれた、朝鮮半島非核化への連携に対する北朝鮮側の反発とみられている。

今回の首脳会談で日本は、地域の平和と安定のために建設的な役割を果たす姿勢を示した。いっぽう、中国や北朝鮮は、それとは裏腹に軍事的な挑発行動を続けており、その言動の不一致は際立っている。

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