熱中症予防に効果的! 漢方医のおすすめ食材とツボケア

夏は過ぎましたが、今年は引き続き世界中で記録的な猛暑が続いています。6月には観測史上の最高気温が更新されました。

人間は厳しい暑さの中で、体温が急速に上昇し、発汗機能が追いつかず適切な体温を保てないと、熱中症を引き起こします。このとき、正確かつ迅速な対応や治療が極めて重要です。手当が遅れると、重症化して障害を残したり、最悪の場合には多臓器不全を引き起こして死に至ることもあります。

台湾の京禾中医(漢方)診所の陳俊如院長は、エポックタイムズの番組「健康1+1」で、熱中症対策に効果的な食べ物10種類を紹介し、予防と応急処置についても解説しました。
 

熱中症の症状

陳俊如院長によると、熱中症は重症度に応じて「熱けいれん」「熱失神」「熱疲労」の3段階に分類されます。
 

1.熱けいれん

症状 筋肉の異常収縮と痛みが1~3分続き、太もも、ふくらはぎ、腕、腹部に起こりやすいです。

原因 発汗に伴い電解質が失われ、水分補給が不足して電解質のバランスが崩れた結果、筋肉のけいれんを引き起こします。

2.熱失神

症状 めまい、吐き気、一時的な失神

原因 炎天下や運動後に体温を下げようと皮膚の血管が拡張し、心臓へ戻る血流が停滞して血圧が低下し、脳への血流が減少することでめまいや失神が発生します。

症状 大量の発汗、倦怠感、ふらつき、疲労、息切れなど。

原因 大量の水分が汗として排出され、脱水症状が起こります。水分や電解質の補給が追いつかず、血液の循環不全に陥ります。
 

漢方医における熱中症の種類

陳俊如院長は、漢方では熱中症を「中暑」と呼び、熱中症の原因によって「陰暑」と「陽暑」の2つに分けられると説明しました。

1.陰暑(従来型の熱中症)
汗が出ずに体内に熱がこもり、倦怠感や頭痛などの熱中症の症状が現れる状態です。エアコンの効いた室内で働くビジネスパーソンや、高齢者、肥満の方、妊婦などがかかりやすいとされています。

ビジネスパーソンはエアコンの効いた環境に長時間いることから、温度調節機能が衰えるため「陰暑」にかかりやすい(Shutterstock)

 

2.陽暑(労働型熱中症)
高温多湿の環境で長時間活動し、水分補給が不十分な場合に発症する熱中症です。軍人や労働者、アスリートなど、炎天下で働く人々がかかりやすいとされています。

作業者は炎天下の環境の中いることが多く、水分補給が不足するため「陽暑」にかかりやすい(Shutterstock)

 

熱中症になりやすい人の特徴

陳俊如院長は、熱中症になりやすい人の特徴を以下の7つにまとめています。

1. 高齢者と幼児 普段運動する習慣はなく、体温を調節する能力が弱いです。

2. 慢性疾患を持つ人 心臓病、糖尿病、肥満症の患者など。体重が重い人は熱が溜まりやすいため、体温調節が遅いです。

3. 妊婦 妊娠中は体が余分な水分と栄養を摂る必要があるため、高温の影響を受けやすいです。
 
4. 室外労働者 大工さん、交通警察、農業従事者など。長時間に高温環境に働く人が水分補給を怠るときにです。

5. アスリート 高温環境で激しい運動をすると、体がより多くの熱を生み出し、熱中症になりやすいです。

6. 高温環境に慣れていない人 暑い地域に来たばかりの旅行者や新しい移民です。

7.飲酒や特定の薬を服用している人 アルコールや一部の薬物は体温の調節機能に影響を与えてしまいます。
 

熱中症になった時の対処法

陳俊如院長は熱中症になった時に焦らず、以下六つの対処法を紹介しました。

1. 冷水風呂やシャワーで体温を下げる

2. 服を除去し、冷水をかけて扇風機などで冷やす。

3. 氷のうで脇の下や首、膝などを冷やす。

4. 大量の水を飲んで体内の熱を排出する。

5. ツボマッサージ(百会、合谷、内関)を行う。

熱中症の症状を和らげるツボマッサージ(健康1+1/大紀元)

 

意識がぼんやりして倒れそうなときは、人中(じんちゅう)ツボを押して刺激すると、意識を回復させる効果があります。

人中穴(健康1+1/大紀元)

 

6.背中や首、肩に刮痧(かっさ)を施して暑さを和らげる。

刮痧(かっさ)を行う(健康1+1/大紀元)

 

刮痧(かっさ)とは専用プレートを使って皮膚の経絡や反射区を擦って刺激することで、毛細血管に圧を加えて血液の毒を肌表面に押し出し、経絡の流れを良くするというもの。いわば、東洋医学的なデトックスであるといえます。

 

夏に暑さ対策になる食材

夏に熱中症を防ぐために、陳俊如院長は以下の10種類の食材を推奨します。

1. 緑豆 緑豆スープを作ります。多めの水で、豆が割れる直前まで茹で、火を止め冷ましてから飲みます。緑豆スープは伝統ある暑さ対策になる飲み物で、熱を取りデトックス効果があります。

2. 蓮の実 蓮の実は美味しいだけでなく、気分を落ち着かせ、暑さを和らげる効果もあります。研究によると、蓮の実には抗炎症、抗がん、血糖値降下などの効果及び慢性疾患のリスクを低減する効果もあります。

3. 百合根 百合根には熱を取り暑さによる症状を解消する効果があり、また肺を潤し、咳を止める効能もあります。デザートやスープによく使われます。

4.菊花 菊花茶は抗炎症作用があり、視覚障害の改善、夏の暑さを和らげるのに役立ちます。研究によれば、菊花にはフェノール化合物が豊富に含まれており、免疫調節、肝臓機能と腎臓機能の維持、抗酸化、抗炎症、減量などの効果があるとされています。

5. ゴーヤ ゴーヤは利尿作用と血糖値を安定させる効果があります。和え物、炒め物、スープに使われることが多いです。

6. スイカ スイカは喉の渇きを癒し、夏の暑さを和らげる優れた食材です。研究によると、スイカにはリコピン、シトルリン、その他のポリフェノール化合物が豊富に含まれており、スイカを食べることで心血管疾患などの慢性疾患のリスクを低減する効果があります。

7. ミント ミントティーやミントキャンディーは清涼感があり、夏の暑さを和らげることに役立ちます。研究によれば、ミントには鎮痛効果があり、抗菌、抗ウイルス、抗がんなどの特性も持っています。

8. 冬瓜 冬瓜(とうがん)には熱を取り暑さによる症状を解消する効果や、利尿と浮腫を解消する効果があります。スープや炒め物に使うことができます。

9. 白きくらげ 白きくらげには熱を取り、潤いを養う効果があり、デザートの材料としてよく使われ、夏にぴったりの食材です。

10. ハスの葉 ハスの葉茶には、熱を取り、暑さによる症状を解消する効果と利尿作用があり、夏に相応しい食材です。研究によると、ハスの葉は減量、抗炎症、血圧を低下させる効果があり、そのエキスには血管の拡張を促進し、血液の粘度を下げて、血管を守る効果もあります。

 

(翻訳編集 正道 勇)
 

Jojo
林一山