ウコンで消化不良を解消! 万能スパイスの薬効に注目

消化不良の治療法は、安価でおいしく、手軽に手に入るかもしれません。

新しい研究によると、「ウコン」が、一般的な腹部不快感(消化不良)の緩和において、と同じくらい効果的である可能性があることが明らかになりました。

消化不良の治療において
ウコンは標準薬と同等の効果を発揮

ウコンはショウガ科のハーブである「ウコン属」の植物の根茎から作られるスパイスです。ウコンに含まれる活性成分「クルクミン」には、強力な抗炎症作用、抗酸化作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、抗真菌作用があります。

最近の臨床研究では、クルクミンが潰瘍や胃の内壁にできるびらん(傷)に対して効果的であることが示されています。クルクミン(1日合計3000 mg)を最大12週間投与した結果、潰瘍やびらんが減少または消失し、腹部の痛みや不快感も4週間以内で大幅に軽減されたと報告されています。

ウコン(Shutterstock)

 

しかし、消化不良に対する効果についてはこれまで不確かでした。

新たに発表された研究では、ウコンとオメプラゾールを消化不良の治療で直接比較した最初の試みが行われました。この研究は、査読付きの『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載されています。

オメプラゾールは、胃酸を抑えることで消化不良を治療するプロトンポンプ阻害薬(PPI)ですが、長期間の使用は骨折リスクの増加、栄養不足、感染症のリスクと関連しています。

 

クルクミンをよりよく吸収するためには

ウコンは、東南アジアでは伝統的に胃の不調や炎症を治療するために使用されてきました。アメリカでは、変形性関節症や過敏性腸症候群などの症状に対する抗炎症や抗酸化サプリメントとして一般的に摂取されています。

ウコンに含まれる植物栄養素「クルクミン」の効果は、黒コショウと一緒に摂取することで増強されると、医師であり「Nutrition Facts」の創設者であるマイケル・グレガー博士は述べています。

ウコンを摂取してから1時間以内に、肝臓はそれを異物として排除しようとします。「体はこれを『自然なものではない』と見なし、毒素であるかのように分解しようとしますが、これは安全側に倒れるための措置です」とグレガー博士は「エポックタイムズ」に語っています。しかし、黒コショウはこのプロセスを抑制し、クルクミンの体内利用効率(バイオアベイラビリティ)を高めると彼は付け加えました。

さらに、ウコンを脂肪と一緒に摂取すると、クルクミンがリンパ系を通じて直接血流に入り、部分的に肝臓を迂回します。

「最も良い方法は、ナッツ、種子、アボカドなどの脂肪源となる食品を丸ごと摂ることです」とグレガー博士は述べています。

ナッツ、種子、アボカドなどの全食品由来の脂肪を一緒に摂取することがよいとされる(Shutterstock)

 

「脂肪はクルクミンの体内利用効率を7~8倍に増加させ、黒コショウは19倍にまで増加させます」と彼は付け加えました。

グレガー博士は、黒コショウと一緒にウコンをスープやシチューに加えることを推奨しています。また、バナナやカシューナッツと一緒にブレンドして、ゴールデン・ウコン・スムージーを作ることもできると指摘しています。

黒コショウに有害な金属が含まれているという研究は彼の知見には入っていませんが、スパイスの見た目を良くするためにクロム酸鉛を使用しているウコンには注意すべきだと助言しています。

 

研究の限界

この研究は、ウコンが消化不良に対して有効である可能性を示していますが、いくつかの注意点もあります。使用された症状評価スケールが一般的なものではない可能性があり、また測定の頻度についても疑問が残ります。

例えば、症状の評価をより頻繁に行った場合、結果はどのように変わるのでしょうか。また、ウコンがさまざまな炎症状態に累積的にどのような影響を与える可能性があるかも考慮すべきです。

研究者たちは、ウコンを使用する前に医師に相談することを勧めています。特に血液をサラサラにする薬を服用している人は、ウコンが薬と相互作用したり、アレルギーや出血といった副作用を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

 

(翻訳編集 華山律)

オーストラリアのシドニーに拠点を置き、健康と科学に関するニュースを担当するレポーター。