健康支える冬の味方

年末年始の食べすぎ対策! 大根で気軽に健康を守る方法

年末年始は、家族や友人と楽しい時間を過ごす機会が増え、ついつい豪華な料理を楽しみすぎることがあります。しかし、高脂肪・高カロリーの食事が続くと、消化不良や体調の不調、体重増加といった悩みが出やすくなるのも事実です。

そんな時に思い出したいのが、「冬は大根、夏は生姜」という昔ながらの言い伝えです。冬に大根を取り入れることは、手軽で効果的な健康法とされています。この時期、大根を上手に活用して、元気に年末年始を乗り切りましょう!
 

大根の健康効果:胃腸を整え、体を潤し、気分をリフレッシュ

1. 胃腸を整え、巡りを良くする

大根は、日々の健康を支える身近な食材です。特に寒い冬は運動不足や食べ過ぎで、胃が重い、便秘気味、なんとなくイライラする、といった状態になりがちです。そんな時に大根を食べると、胃腸を整えてくれる効果が期待できます。

中医学では、体の中を巡る「気」というエネルギーが滞ると、血の巡りや臓器の働きが悪くなり、不調の原因になると考えられています。大根は、この「気」の流れをスムーズにして、特に胃腸の働きを助けてくれる優れた食材です。胃がスッキリすると、消化もスムーズになり、膨満感や便秘も和らぎます。

胃腸が元気であることは、体全体の健康を保つ土台です。日常的に大根を取り入れることが、元気の秘訣になります。
 

2. ストレスを和らげ、気持ちを整える

冬は寒さの影響で体のエネルギーがこもりやすく、ストレスを感じやすい季節です。この状態を放っておくと、気持ちが沈んだり、食欲がなくなったり、胃が張ったりすることもあります。

大根を食べることで、体と気分をリフレッシュさせることができます。例えば、甘酢漬けのように酸味のある味付けにすると、大根の辛味と一緒に体内のバランスを整える働きが高まります。気持ちも軽くなり、前向きになれる効果が期待できます。

ただし、大根は体を冷やす性質があるので、胃腸が弱い人や冷えが気になる人は、煮たり蒸したりして温かくして食べるのがおすすめです。

 

大根の健康効果:咳や痰を軽減し、体を守る

かごに盛られた大根(Shutterstock)

大根が肺に良い理由

大根は白い色と少しピリッとした辛味が特徴の野菜です。中医学の考えでは、白い食べ物や辛味のある食材は「肺」に良いとされており、大根はその代表例です。大根には、肺を冷やして熱を取り、痰を解消する働きがあります。

痰が肺に溜まる原因は、胃腸(お腹)の調子が悪くなり、水分がうまく排出されないことだと考えられています。大根には体の余分な水分を取り除き、胃腸の働きを整える力があります。そのため、痰が減り、咳も自然と楽になります。

さらに、大根には水分が豊富に含まれており、肺や喉を潤して乾燥を防ぐ効果も期待できます。このため、のどの痛みや乾いた咳、さらには肌の乾燥対策にも役立ちます。また、肺が整うと体がリラックスし、不眠の改善にもつながることがあります。
 

注意点:風邪をひいたときの大根の食べ方

もし寒さによる風邪をひいてしまった場合には、生の大根をそのまま食べるのは避けましょう。冷たい性質を持つ生の大根は、体を冷やしてしまう可能性があります。このような場合には、大根を鶏肉や魚と一緒に煮込んだ料理がおすすめです。

煮込むことで大根の性質が優しくなり、体を温める効果が得られます。ショウガやネギを加えたスープ仕立てにすると、体をしっかりと温め、胃腸を整える効果がさらに高まります。

 

大根料理のおすすめ

1. 牛肉と大根の煮込み

牛肉と大根の煮込み(shutterstock)

「牛肉と大根の煮込み」は、大根のさっぱりした甘みと牛肉の濃厚な旨みが絶妙に調和した、中華料理の定番です。体を温め、胃腸の調子を整えたい時にぴったりの一品です。

材料(4人分):

  • 大根:500グラム
  • 牛肉(すね肉や肩ロースがおすすめ):300グラム
  • ショウガスライス:3枚
  • 料理酒:大さじ2
  • 八角:1個
  • 陳皮(乾燥みかんの皮):少々(お好みで)
  • 鶏ガラスープの素:適量(無添加タイプがおすすめ)
  • 塩:適量
  • サラダ油:大さじ1
  • お好みで刻みネギ:少々

作り方:

  1. 牛肉は一度沸騰したお湯で軽く茹でて臭みを取り除き、食べやすい大きさに切る。
  2. 大根は皮をむいて適当な大きさに切り、軽く茹でて辛味を抜く。
  3. フライパンにサラダ油を熱し、ショウガを炒めて香りを立たせる。牛肉を加えて全体に焼き色がつくまで炒め、料理酒を加える。
  4. 牛肉を鍋に移し、ひたひたになるくらいの水を加える。八角と陳皮を入れ、弱火で40分ほど煮込む。
  5. 大根を鍋に加え、さらに20分煮込む。途中で鶏ガラスープの素と塩を加えて味を調える。
  6. 器に盛り、お好みで刻みネギを散らして完成。深みのある味わいとともに、体が温まる一品です。

養生効果:

  • 牛肉:体を温め、血の巡りを良くし、エネルギーを補う効果があります。
  • 大根:胃腸を整え、消化を助ける作用があり、食べ過ぎや脂っこい料理で疲れた体をサポートします。
  • 陳皮と八角:気の巡りを良くし、体を温める効果が抜群です。冷え性や胃腸が弱い人に特におすすめ。

 

2. サバ大根

サバ大根(shutterstock)

サバ大根は、日本の家庭料理の代表的な一品です。大根のさっぱりとした風味とサバの旨みが絶妙に組み合わさり、気分を整え、血流を促進し、健康をサポートする効果があると言われています。

材料(2人分)

  • 大根:300グラム
  • サバの切り身:2切れ
  • 生姜(薄切り):2枚
  • 醤油:大さじ3
  • みりん:大さじ2
  • 味噌:大さじ1
  • 出汁(魚や昆布から取ったものがおすすめ):500ミリリットル
  • お好みで刻みネギ:少々

作り方

  1. 大根は皮をむいて一口大に切り、さっと茹でて苦味を取り除く。
  2. サバは軽く洗って水気を拭き取り、適当な大きさに切る。熱湯をかけて臭みを取り除く。
  3. 鍋に出汁、生姜、醤油、みりん、味噌を入れて煮立たせる。
  4. 煮立った鍋に大根を加え、中火で10分ほど煮込む。
  5. サバを鍋に入れ、弱火でさらに20分煮込む。煮汁が全体に絡み、大根に味が染み込んだら完成。
  6. 器に盛り、お好みで刻みネギを散らすと彩りも良くなります。

養生効果

  • 肝の健康をサポート
    大根は「肝の気」を通して体を整えるとされ、サバは肝臓を守り、視力をサポートする効果が期待されます。疲れやすい人や、ストレスを感じやすい方におすすめです。
     
  • 血流を改善
    サバに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸は血流を良くし、心血管系の健康をサポートします。
     
  • 胃腸を整える
    味噌やみりんといった調味料と大根の組み合わせが胃腸を温め、消化を助けます。

 

3. その他の大根を使った煮込み料理

  • 大根の味噌汁
    味噌、大根、昆布で作る定番の味噌汁は、胃腸を温める効果があります。
     
  • 鶏肉と大根の煮込み
    鶏肉は体を温める力があり、大根と組み合わせることで胃腸の働きをサポートします。
     
  • 牡蠣と大根の煮込み
    牡蠣は腎臓を元気にし、大根と一緒に煮込むことで体を潤す効果があります。

体質に合わせた大根料理の選び方

  • 冷え性の方
    生姜や酒を加えると体を温める効果が高まります。
  • 血行が悪い方
    サバ大根がおすすめ。血流を改善する効果が期待できます。
  • 胃腸が弱い方
    鶏肉大根や牛肉大根の煮込みをどうぞ。
  • 暑がりの方
    酸味のある大根サラダや大根の酢漬けが清熱作用を持ち、体をさっぱりと整えます。

大根料理は生でも煮ても、その効果はさまざまです。体質や状況に合わせた料理を選ぶことで、胃腸の調子を整え、健康的に過ごすことができます。この冬は、さまざまな大根料理を楽しみながら、健康を守り新年を迎えましょう!

(翻訳編集 華山律)

 

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。