フランス・パリのベルサイユ宮殿と庭(Shutterstock)
虚構が作る歴史『ベルサイユのばら』と歪められた日本人の革命イメージ

第2回:「レディ・オスカル」の同性愛的転覆と歴史の歪曲――旧体制と女性像の真実

漫画『ベルサイユのばら』の映画版は、昨年(2024年)の秋に公開された。原作の漫画は池田理代子氏によって描かれたものであり、「少女漫画」あるいは「恋愛小説」と呼ばれるジャンルに属している。本記事はこの映画、そして原作漫画について論じる全5回シリーズの第2回目の記事である。

本作の核心的な問題点は、「レディ・オスカル」が男性と瓜二つの女性として、作品内で女王の近衛隊長を務めている点にある。

もちろん、実在の人物ではなく、本来ありえないこの設定には、同性愛者の転覆的な運動への誘惑が潜んでいる。オスカルは女性でありながら男性になりきり、自身の女性らしさを忘れようとするが、結果的にどこかで女性らしさに立ち戻る運命にある。

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