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日本の臓器提供支援を地域で強化 中国と関係が深い藤田医科大などが新法人設立へ

厚生労働省が進める移植医療体制の改革に伴い、臓器提供者(ドナー)の家族に対する説明や同意取得を専門に担う新たな民間法人を、藤田医科大学(愛知県)などが設立し、厚労省に対してあっせん業の許可申請を行う方針を固めた。

現行でドナー家族対応などの業務を担っている日本臓器移植ネットワーク(JOT)の業務負荷を軽減し、地域ごとの迅速な対応を可能にすることが狙いだ。藤田医科大は中部7県(愛知、三重、静岡、岐阜、福井、石川、富山)を対象に、JOT経験者らを採用して病院へ職員を派遣する体制を整え、あっせん業許可の申請を行う計画だ。厚労省の第三者機関の審査で許可が下りれば、早ければ本年度中に稼働する見込みで、人件費や備品の補助を行う方針も示されている。

厚労省は同時に、臓器移植コーディネーターの制度整備と人員拡充を進めている。2025年6月11日の専門委員会では、現場で家族対応を担う「臓器移植コーディネーター」の新たな認定制度導入が示された。新制度では各医療機関に所属する「院内コーディネーター」が家族への説明・同意取得を担えるようにし、研修や模擬面談を通じた専門教育を義務付けることで、従来数日かかっていた家族対応の迅速化を図る。

厚労省は2024年7月以降、移植実施体制の抜本的見直しを検討しており、2024年12月には家族対応を担うコーディネーター派遣業務を新組織に移管する案が提示されていた。こうした改革は、臓器提供の機会を逃さず移植につなげるための体制作りを目的としている。

日本国内では依然として移植臓器の不足が深刻であり、適合する臓器を得るまでに長い時間がかかるため、待機中に死亡する例も少なくない。このため、一部の患者が海外渡航による移植を選択するケースがあり、とくに中国への渡航移植が問題視されている。中国の臓器移植は「短期間で適合臓器が見つかる」「移植件数が極めて多い」といった特徴を持ち、世界で上位の移植実施数を誇るとされるため、移植ツーリズムの目的地として選ばれてきた。

しかしながら、この「スピード」には深刻な人権侵害の疑いが指摘されている。複数の国際調査報告や議会決議などは、中国における臓器供給の背景に、死刑囚以外からの強制的な臓器摘出が存在する可能性を警告してきた。特に法輪功修煉者やウイグル人など宗教的・民族的少数者、反体制派らが「良心の囚人」として標的になり、国家機関が関与して組織的に臓器を収奪しているとの指摘がなされている。これらは刑務所、警察、医療機関、行政部門が連携した「国家犯罪」に近い構造を示すとの批判もある。

日本人患者がこうした移植に関与する可能性があることは、倫理的・法的に重大問題を内包している。

しかし今回、厚労省に対してあっせん業の許可申請を行う方針を固めた藤田医科大学は、中国の移植業界と関係が深いことが2020年7月15日に同大学が出したプレスリリースから明らかになっている。

プレスリリースには、2019年に急性腎不全で入院した中国人技能実習生の女性が、重症の巨細胞性心筋炎を発症し、体外式両心室補助人工心臓の装着手術を受けたことが記されていた。





<独自>「捨てるほどある臓器」日本から中国へ渡航移植手術をあっせんするNPO団体 案内を再開
コロナ禍による海外への渡航規制で、中国を含む渡航移植手術のあっせんを停止していた日本のあるNPO団体は、最近、渡航移植の案内を再開した。団体によれば、中国では「捨てられるほど」移植のための心臓と肺があるという。

女性は心機能の回復が見込まれず日本での移植が困難だったが、武漢の協和医院が受け入れを表明。新型コロナによる渡航制限で延期されたが、日本から出発してわずか13日後の6月25日、無事心臓移植手術が施行された。心臓を取られたドナーは当然死亡する。しかしこの一連の出来事は国境を超えた救出劇として、各国メディアでも報じられた。

日本国内で進む体制強化は、移植を待つ患者にとって移植機会の拡大を目指す重要な施策だが、同時に国際的な人権問題と結びつく医療提携には慎重な対応が不可欠だ。厚労省や医療機関側には、新法人の運用やコーディネーターの認定制度を通じて国内で安全かつ倫理的な移植を拡充するとともに、中国渡航移植の実態解明や仲介業者の規制強化、患者への情報提供と倫理指針の徹底が求められる。臓器移植に関わるすべての当事者にとって、命を救う行為が人権侵害に加担する事態を避けることが最優先だろう。

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