なぜ国境管理が必要なのか
この文章を書くのは正直つらい。私自身今までずっと「国境を開くべきだ」と信じてきた。その立場を文章や講演で広めてもきた。けれど、今はその考えを完全に否定している。だからこそ、自分がなぜ考えを変えたのかを説明する責任があると思う。ここでは、現実から乖離したイデオロギーが、どれほど真面目で知的な人間をも不条理な方向へ導くのか、その一例として読んでもらえればと思う。
筆者が「国境開放」を信じるようになったのは大学時代だ。米国にはすべての人を受け入れる能力と道徳的義務があると信じていた。確かに移民の波は社会的・経済的・人口的な混乱をもたらす。だが、自由な人々と自由な制度があれば、それは乗り越えられるものだと思っていた。
自身の歴史理解もこの考えを裏づけているように見えた。歴史をたどれば、米国は移民の国であり、自分のルーツも植民地時代の初期にまでさかのぼる。祖先はテキサスに移り住み、その後のドイツ系移民の波を受け入れる道を切り開いた。19世紀後半、米国は膨大な数のアイルランド人とイタリア人を受け入れたが、1920年代初頭に国境を閉ざし、その結果は悲劇的だった。筆者には、国境を開く以外の政策を取る理由が見えなかった。
関連記事
中国で「VPNで海外サイトを閲覧するだけなら安全」という常識が崩れつつある。検閲を回避したこと自体を理由とした処罰や、数年前の履歴を遡る調査の実態、拡大する中国共産党のネット統制の闇に迫る
中国の債務はGDPの300%を超え、限界に達しつつある。だが、この経済減速は軍事的野心の縮小を意味しない。資源保有国であるカナダなどの西側諸国は、中国の台頭の盲信や中国崩壊という極端な見方を排し、戦略的備えが必要だ
AIは生活を変える一方、犯罪関与や依存、思考力低下など深刻なリスクも指摘される。フロリダ州の提訴を契機に、技術と人間の責任の境界が問われている
核不拡散に向けた米国の取り組みは、かつてない圧力と課題に直面している。インド太平洋地域における核の脅威の深刻化 […]
米最新鋭フォード級空母は電磁カタパルトなど新技術を一挙投入し、巨額費用と度重なる不具合という代償を払った。漸進的発展の原則を飛び越えた試みは、中国空母「福建」が抱える技術的リスクを映す鏡でもある