故・中国の俳優、アラン・ユー(于朦朧、37歳)。(アラン・ユーのSNS・REDより)
全民ボイコットの現実

アラン・ユー事件後 「写真一枚で公演が消える時代」に=中国

中国の芸能界で今、はっきりとした異変が起きている。アラン・ユー(于朦朧)事件の影響は想像以上に大きく、業界全体を巻き込む前例のないボイコットを引き起こした。

アラン・ユー事件に関与したと疑われ、市民調査の末に作られた「加害者リスト」に名前が挙がった人物は、出演作や公演、広告から次々と排除され、市民からもボイコットされている。これは単なるイメージ悪化ではなく、実際に仕事が消える現象として可視化された。

その一部として、例えば歌手の焦邁奇のケースがある。焦邁奇は事件後、関与が疑われる人物の一人としてネット上で名指しされ、出演作やライブへの抗議が相次いだ。2026年1月2日に上海で予定されていたライブは「不可抗力」を理由に中止が発表された。天災や事故ではないにもかかわらず、この表現が使われたこと自体が、市民の圧力が現実の判断に影響したことを示している。

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