地球深部探査船「ちきゅう」

世界初「海底からレアアース泥」回収 産業化に道

各国政府がエネルギーやレアアース(希土類)のサプライチェーンの安全強化を進める中、日本のレアアース産業が新たな節目を迎えた。深海探査船「ちきゅう」が、日本近海の水深6千メートルの深海から大量のレアアースを含むとされる泥の引き揚げに成功し、産業化開発への道が開けつつある。中国へのレアアース依存からの脱却につながる可能性がある。

海洋研究開発機構が運用する地球深部探査船「ちきゅう」は1月12日に出航し、深海レアアースの探査を実施した。2月2日には、南鳥島周辺の海域で、水深約6千メートルの地点に大規模なレアアース富集帯(鉱床の一部)を確認したと伝えた。規模は、将来的に産業化開発が見込める水準だという。

内閣府戦略的イノベーション創造プログラムの石井正一プログラムディレクターは1月12日、「2010年の尖閣諸島問題の時の、中国による供給停止事態が今回また起ころうとしております。私どもは国産のレアアースの実現に向けてのプロセスがあるんじゃいかというふうに思う次第であります」と述べた。

今年初めには、中国共産党(中共)が日本に対して新たな輸出規制を実施し、レアアースもその対象に含んでいる。今回の成功は、日本が対中国依存を低減するうえで重要な意味を持つ。

野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストである木内登英氏は、「その間、あいにく日本が重希土類など重要なレアアースを南鳥島で産出できるであれば、それを日本は世界の他の国にも輸出することもできるので、非常に重要な、戦略的にも重要な位置付けにもなっていくと」と指摘する。

科学的調査によると、南鳥島周辺の海域には1600万トンを超えるレアアース資源が埋蔵されており、埋蔵量は世界第3位とされる。中でも、ジスプロシウム(強力なネオジム磁石の耐熱性を向上させるレアアース)は約730年分、イットリウム(テレビやLEDの赤色蛍光体、超電導材料、レーザー、セラミックスの添加剤)は約780年分、利用が可能との試算だ。

すでに最初のレアアース泥は船上に回収されており、「ちきゅう」は2月15日に日本の清水港へ帰港する予定だ。

関連記事
家族旅行で京都を訪れ、東山連峰で行方不明になっていたアメリカの大学生が、大規模な捜索の末に遺体で発見された。悲しみに暮れる母親がSNSで明かした、険しい捜索の裏側と支援への感謝の思いを伝える
奈良公園で女性が鹿の背に腰掛けようとする動画がSNSで拡散し、批判が相次いでいる。奈良県は「極めて不適切」として、観光客に鹿との直接接触を避けるよう呼びかけた
8日、フィリピン付近を震源とする地震により広域に津波注意報が発表された。高市首相は公式Xを通じて海岸への接近警戒や政府の対応などの緊急メッセージを発信した
ユネスコの諮問機関イコモスが、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産への「記載」を勧告。古代国家の形成過程を示す19の構成資産が高く評価され、7月の世界遺産委員会で正式に登録が決定される見通し
若者の「闇バイト」加担を防ぐため、高市首相が保護者や教育関係者へ向けた緊急メッセージを発信した。警察庁は「人生を棒に振らないための5つのこと」をウェブ上で掲載し、加担すれば決して逃げられない過酷な現実を警告している