David Veksler/Unsplash.com

出生率の低下で世界はより保守化する?

論評

英国人の作家ジョージ・オーウェルは、80年近くも前にこの問題、すなわち人口置換水準を下回る出生率の問題に気づいていた。1947年、英国が戦時の厳格な生活から未開の戦後へと足を踏み入れようとしていた時期に、彼は「Britain in Pictures」シリーズのために書いた短著の中で次のように述べている。戦時中に出生率は一時的に持ち直したが、「全体としては低下傾向にある。現状は、巷で言われるほど危機的なわけではない。しかし、今後10年から20年以内に(出生率の)曲線が急上昇しない限り、この状況を立て直すことは不可能だ」とオーウェルは指摘した。

彼は不吉な予感とともにこう続けた。「さもなければ、人口が減少するだけでなく、さらに悪いことに、人口の大部分が中年層で占められることになる。その段階に達すれば、衰退は二度と取り返しのつかないものになるかもしれない」。オーウェルはそれを見届けることなく1950年に46歳で世を去ったが、その危機は回避された。戦後、英国や欧州の一部でも出生率は上昇したが、米国ほどの勢いはなかった。米国のベビーブームは1957年にピークを迎え、1962年に経口避妊薬(ピル)が普及すると一気に収束へと向かったのである。

▶ 続きを読む
関連記事
中共が加える力が大きくなるほど、日本で生じる反作用も大きくなる。これまでのところ、中共は望みを実現できていないばかりか、逆に少なくとも6つの悪影響をもたらした
外交では、握手と署名が「決着」を意味するとは限らない。同じ合意を、一方は和平と見なし、他方は次の一手のための時間と見ることがある。トランプと習近平は、本当に「同じ取引」をしているのか
米中首脳会談は中国優勢との見方を覆し、米国の圧倒的勝利と分析。OpenAIの暴走騒動や米中AI開発競争の激化、米「AI軍」創設宣言が力関係を一変させ、中国を交渉の場へ追い込んだ舞台裏に迫る
中国共産党では第21回党大会に向けた人事が動き始めている。高級幹部の高齢化と世代の断層を背景に、1970年代生まれの幹部が中央委員会にどこまで進出するのか。習近平体制の人事と有力候補を分析
聖書の「バベルの塔」の物語を手がかりに、AI開発競争を考察。技術や資本の集中、共通基盤への依存、競争から取り残されることへの懸念など、現代のAI開発と物語に共通する構図を探る