香港紙「アップル・デイリー」の創業者、黎智英氏(PETER PARKS/AFP via Getty Images)

黎智英の友人で元米大使 中共は真実を恐れ 独立メディアを認めない

香港紙アップル・デイリーの創業者、黎智英氏が20年の判決を言い渡され、大きな波紋が広がっている。現在の状況はどうなっているのか。また、なぜ報道の自由の制限が香港統治の重要な手段と指摘されるのか。元アメリカ駐フィジー大使で、黎智英氏の友人でもあるジョセフ・セラ氏に聞いた。

ーー本日のゲストは、ジョセフ・セラ元駐フィジー米国大使である。黎智英氏の友人でもある。よろしくお願いします。まず、黎氏の現在の状況について教えてください。ご家族とは連絡を取っているのか。また、黎氏の身の安全を心配しているのか

ジョセフ・セラ氏

友人の黎智英氏が直面している問題について話す機会をいただき感謝する。ご存じの通り、彼は78歳で、心臓病や糖尿病など複数の持病がある。長期間、外部と接触できない状態で単独収容されている。湿気や暑さといった環境も彼の健康に大きな影響を与えている。ご家族とはまだ連絡を取れていないが、彼らは模範的な存在だと言える。この過程で、信念と忍耐、そして勇気を示している

ーー中国共産党による越境弾圧は今後も続くのであろうか。こうした動きは、中共のどのような体質を示していると見ているのか。また国際社会、とりわけイギリスはどのように対応すべきであろうか。

ジョセフ・セラ氏

中共は機会主義的で、弱点を見つければ行動に移す。残念ながら、黎智英氏の国、彼が国籍を持つ英国は、米国ほど積極的に彼を支援しているとは言えない。これは非常に遺憾なことである。この事件を通じて、中共が国際社会で行ってきたさまざまな卑劣な行為を世界がはっきり認識してほしい。また、海外での悪意ある活動や各地への介入などに対しても強い警戒を維持することを望んでいる

ーー香港の言論の自由や報道の自由についても伺う。本土との統合以降、独立系メディアは厳しい状況に置かれてきた。例えば姉妹媒体の大紀元時報は香港での印刷を停止せざるを得なかった。また、印刷工場は侵入や放火の被害に遭った。なぜ報道の自由を封じることが香港を統制するうえで最も重要なのであろうか。

 

ジョセフ・セラ氏

それは、彼らが社会の言論を上から下まで統制しようとしているからである。商業であれ、学術であれ、メディアであれ、すべてをコントロールしようとする。もし現地に米国メディアがあれば、それさえも買収や取り込みによって検閲しようとするであろう。彼らは、あなた方のメディアやかつてのアップル・デイリーが伝えてきたように、真実が明らかになることを最も望んでいないからである。なぜなら、真実は中共の本質と邪悪な手法を白日の下にさらすからである。そうした手法は、いずれも時間の試練に耐えられるものではない。冷戦の時代は、苦しく厳しく、ときに流血も伴う時代であったが、最終的に冷戦は終わり、旧ソ連は崩壊した。中共やマルクス・レーニン主義は、人間の本性とは相容れないものであり、長く続くことはできないであろう。彼らは自らのイデオロギーに確信を持てていない。ひとたび自由の風が吹けば、たちどころに崩れてしまう可能性がある。だからこそ、それを必死に阻止しようとしているのである

ーージョセフ・セラ元大使、本日ありがとうございました

関連記事
12日の中国外交部会見で示された、台湾有事を「内政」とする論理が日本や沖縄にもたらす法的リスクを分析。中国共産党の法律戦・心理戦に対抗し、日本が発信すべき戦略的ナラティブとは何か?
「(国防は)我々が団結し、対外的に共同戦線を張るべき領域である」と頼清徳総統は述べた
香港の民主派メディア創業者、黎智英氏の実刑判決をめぐり、ホワイトハウスは10日、この問題はトランプ大統領にとって重要だと述べた。大統領が4月の中国訪問で取り上げるかが注目される
台湾の凄惨な殺人事件「林家殺人事件」を題材とした映画『世紀血案』が公開前から物議を醸す。許諾なしの制作や史実歪曲、政治的意図が指摘され、市民ひいては出演者から上映差し止めを求める声が出ている。また、中国資本が絡んでいることから、中共による浸透工作の疑いも浮上している