ボトルやチューブに入った日焼け止めに頼りたくなるのは当然のことです。しかし、皮膚が徐々に日光にさらされることで発達する「もう一つの日焼け止め」、すなわち自然のメカニズムに頼ることもできるかもしれません。
『エクスペリメンタル・ダーマトロジー』(皮膚科学の学術誌)に掲載されたレビューには、特徴的な写真が掲載されています。ギプスを外した直後に日光を浴びた腕の写真で、親指の付け根の下部から手の甲の中央、さらに腕の途中まで、かつてギプスで覆われていた部分に沿って赤くなった皮膚がくっきりと浮かび上がっています。それ以外の部分には、日光を浴びた痕跡は見られません。「これは、日常生活で受ける日光に対して皮膚が適応していくことを示しています」と、このレビューの著者であり、皮膚科学の元准教授であるフランク・デ・フレイル氏はエポックタイムズに語っています。
少量の紫外線を継続的に浴びることで、皮膚の中で紫外線から身を守る仕組みが働きます。そのため春は、日光への耐性を少しずつ高め、夏の日焼けのリスクを下げる絶好の機会といえるのです。
皮膚が日焼け止めとして機能する仕組み
日焼けしているように見える状態は、実は皮膚内で進行中の「構築プロジェクト」の結果です。
太陽光が皮膚に当たると、メラノサイト(色素細胞)が活発に働き、メラニン(皮膚を守る色素)を生成します。このメラニンは小さな粒子となって皮膚の表面へ運ばれ、微細な防御層を形成します。これらは「核上キャップ」と呼ばれ、主に紫外線を吸収して熱として放出し、一部の光を散乱させながらDNAの損傷を防ぎます。さらに、皮膚の最外層がわずかに厚くなる(細胞が蓄積する)ことで、もう一段階の防御が加わります。
科学的には、この過程は「皮膚の光適応」と呼ばれます。この効果を数値で測るのは難しいとデ・フレイル氏は述べていますが、世界中の屋外労働者の皮膚を見れば、その影響は明らかです。
『European Journal of Cancer(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー)』に掲載されたメタ分析では、冬のバカンスでビーチに行くなどの断続的な日光曝露によって日焼けをすると、メラノーマ(悪性黒色腫)のリスクが高まる一方で、職業的に慢性的に日光にさらされている人々では、逆に保護的な関連が見られることが分かりました。定期的な曝露は、異なる生物学的反応を引き起こすようです。
「これは、特に強い紫外線への曝露から身を守るうえで重要です」とデ・フレイル氏は述べています。「日焼けしていない皮膚であっても、免疫系の変化やDNA修復の促進といったプロセスによって、皮膚はより鈍感になり、ダメージを受けにくくなる可能性があります」
誰でも日焼けする可能性がある
冬の間、屋外で過ごすことが少ない人では、メラノサイトの活動が低下します。そのため、非常に肌の色が濃い人であっても、数か月間屋内で過ごした後に長時間日光を浴びれば、日焼けしてしまう可能性があります。
「表皮にメラニンやメラノサイトが十分に存在しないため、日焼けしてしまうのです」と、ビタミンD研究の専門家であり、生理学・生物物理学の教授であるマイケル・ホリック医師はエポックタイムズに語っています。「しかし日光に当たると、すぐにそれらの生成が始まります」
ホリック氏は、患者がビタミンDの摂取を最大化できるようにするため、皮膚が天然の日焼け止めとして働く仕組みに関心を持つようになりました。ビタミンDは主に日光によって体内で生成されるホルモンで、骨の健康を支えます。不足すると、自己免疫疾患や炎症性疾患、例えば2型糖尿病、心臓病、いくつかのがんと関連するとされています。
日焼けは、赤みや炎症、皮膚細胞の損傷を引き起こします。いわゆる「皮むけ」は、体が損傷した表皮を取り除こうとする結果です。傷ついた細胞が急速に表面へ押し上げられることで、皮膚が剥がれ落ちます。
メラニンを多く生成するほど、自然な紫外線防御力は高まります。金髪や赤毛で青や緑の目を持つ色白の人は、日焼けしやすく、耐性の形成も遅い傾向があります。アメリカ人の約半数は、肌の色や日焼け歴に基づいて紫外線感受性を推定するフィッツパトリック皮膚タイプ分類の中間に位置しています。
リスクはどのように現れるのか
デ・フレイル氏によると、肌の色が濃い人では、色素量だけでなく、紫外線によるDNA損傷への反応や修復の仕方の違いによって、一般的に皮膚がんのリスクは低いとされています。
日焼けや皮膚がんのリスクを正確に予測できるかどうかについては議論があります。『Advances in Skin and Wound Care(皮膚および創傷ケアの進歩)』に掲載された研究によれば、フィッツパトリック分類は紫外線への感受性を予測する最適な方法ではないものの、全体的なリスクの目安にはなります。
著者らは、「肌の色だけでは日光への反応性を判断することはできない」と述べており、特に多民族の背景を持つ肌の評価は難しいと指摘しています。
それでも、リスクに関係なく、タイプ2から5の皮膚を持つ人はすべて、日光への耐性を高めることができる可能性があるとホリック氏は述べています。
ただし、この考え方はアメリカ皮膚科学会のガイドラインとは一致していません。同学会は、季節や時間帯に関係なく、外出時には常にSPF30以上の日焼け止めを使用することを推奨しています。一方、アメリカ食品医薬品局は、日焼け止めを紫外線リスクを減らすための包括的な対策の一部として位置付けつつ、一部の製品には健康に有害となり得る成分が含まれている可能性にも言及しています。
安全に日光耐性を高める方法
すべての人に当てはまる共通のガイドラインは存在しません。人それぞれであり、その日の条件も異なるためです。自分の皮膚の反応をよく知ることが重要です。例えば、ホリック氏は、6月のケープコッドでの正午の滞在は30分に制限すべきだと考えています。
正午の日光に関する彼の推奨は、ビタミンD生成の最適化に基づいています。長時間屋外で過ごす場合は、紫外線が最も強い午前10時から午後2時の間の曝露を控えるのが望ましいとされています。
また別の方法として、1日に5〜10分程度の短時間の日光浴を毎日行うことが挙げられます。ホリック氏は、住んでいる場所に応じて適切な日光曝露量を提案し、日焼けを避けながらビタミンDの生成を最大化するアプリ「ディーマインダー」の開発にも関わっています。
UV指数(紫外線指数)は、その日の紫外線の強さを示す有用な指標です。日焼けのリスクは、肌のタイプだけでなく、場所や季節にも左右されます。UV指数は線形スケールであるため、例えば3から7へ上昇すると紫外線の強度は大きく増加し、皮膚にはより高い防御が必要になるか、適応していなければより短時間で日焼けしてしまいます。
デ・フレイル氏は、春先に皮膚がまだ適応していない段階で、日光浴や庭仕事などを長時間行うと、リスクが高まると指摘しています。
皮膚の状態を観察しながら、日光への曝露を毎日少しずつ増やし、適応する時間を与えることが大切です。そして、長時間屋外にいる場合を除いては、日焼け止めの使用を控えることも一つの考え方かもしれません。
「私の意見では、日焼け止めを毎日使用することは推奨されません」とデ・フレイル氏は述べています。「それでは皮膚が適切に適応できず、日焼け止めを塗り忘れたときに、かえって日焼けしやすくなってしまいます。どうやら自然は、より優れた戦略をすでに備えているようです」
(翻訳編集 井田千景)
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