研究者たちは、特定のビタミンD量を摂取した成人の心筋梗塞生存者が、摂取しなかった人に比べて再発リスクが50%以上低い傾向が見られたことを報告しています。
ユタ州「Intermountain Health」の研究では、すでに1度心筋梗塞を経験した人を対象に、約4年間ビタミンDレベルが40ng/mLに達するよう「個別に調整したビタミンDサプリ」の投与を行ったところ、再発リスクが52%低かった可能性があるとされています(アメリカ心臓協会〔AHA〕声明)。
これは、ビタミンDレベルの管理を受けなかった人との比較によるものです(AHA)。
研究参加者の85%以上は40ng/mL未満で、研究グループの約52%が目標とされる血中レベルに達するために、1日5,000IUを超える摂取を必要としたとされています(11月9日発表)。5,000IUはFDAが推奨する1日量800IUのおよそ6倍に当たります。
「これまでのビタミンD臨床試験の多くは、血中レベルを確認せずに全員へ同じ用量を与える方法で行われていました」と、「Intermountain Health」のハイディ・T・メイ氏はアメリカ心臓協会声明で述べています。
研究者たちは開始時に参加者のビタミンDレベルを測定し、その後必要に応じて用量を調整しながら、40〜80ng/mLの範囲に達するよう追跡しました。
論文著者らは、この発見が心筋梗塞の既往がある人への血液検査の重要性と、個別の用量提供の有用性を示唆する可能性があると述べています。
アメリカ心臓協会は、研究で使用されたビタミンDの形態について詳細を明らかにしていませんが、「Intermountain Health」の別の声明では、研究者が一般的なサプリであるビタミンD3を使用したと説明しています。
メイ氏は声明の中で、高用量のビタミンD3サプリ投与による「有害な結果は確認されず」、サプリが「再発リスクを有意に低減した可能性がある」と述べています。
「非常に興味深い結果です」と、彼女は続けました。
この研究は11月初め、ニューオーリンズで開催されたアメリカ心臓協会「Scientific Sessions 2025」において発表されました。対象は、2017年4月〜2023年5月にソルトレイクシティの「Intermountain Medical Center」で治療を受けた急性冠症候群の成人630人で、平均追跡期間は4.2年でした。
アメリカ心臓協会によると、研究期間中には心筋梗塞、脳卒中、入院が必要な心不全、死亡など、約107件の主要心イベントが発生したとされています。
今回発表された論文は、ビタミンD補充と心疾患に関する研究の蓄積に新たな情報を加えるものです。2024年の研究では、高齢者におけるビタミンDサプリと心停止リスクの関連は確認されず、また「British Medical Journal」に掲載された研究では、60歳超の人を対象にサプリと主要心イベントの関連が示されました。
サプリ以外のビタミンDを多く含む食品には、卵黄、脂肪の多い魚、魚肝油、チーズなどがあり、シリアル、オレンジジュース、牛乳などはビタミンD強化食品として利用されています。ビタミンDは日光を浴びることで体内でも合成されます。
メイ氏は、心疾患がある人は、適切なビタミンD量について医療提供者に相談することを推奨すると述べています。
(翻訳編集 日比野真吾)
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