白内障手術で眼圧が下がることも 効果が出やすい緑内障タイプとは

70代の女性に強い遠視があり、眼球が比較的短く、目の前方の空間が生まれつき狭かったうえ、閉塞隅角緑内障も患っていました。長期間にわたり、縮瞳薬の点眼で眼圧をコントロールしていました。年齢を重ねるにつれて白内障が徐々に悪化し、目が見えにくくなったうえ、聴力も低下して反応が次第に遅くなったため、家族は認知症になったのではないかと思っていました。

その後、歩いていると物にぶつかることが増え、家族が眼科を受診させました。白内障手術を受けたところ、眼圧は30mmHg近くから10mmHg前後まで低下しました。眼圧を下げる点眼薬を使わなくても、良好にコントロールされていました。視力が回復すると、女性は明るくなり、家族はそれまで反応が遅かったのは、実は見えにくさが関係していたことに気づきました。
 

白内障手術でなぜ眼圧が下がるのか?

台湾の珍世明眼科クリニック院長、王孟祺医師は、エポックタイムズの取材に応じ、この事例について紹介しました。同医師は、「白内障の中には、あまり重症になるまで放置しないほうがよいものがあります。特に、目の前方の空間が比較的狭い患者さんは注意が必要です」と話しています。同医師によると、白内障が進行すると、水晶体が徐々に膨らんで眼内のより多くの空間を占めるようになり、もともと狭い前房がさらに狭くなることで、房水の排出に影響し、眼圧が上昇することがあります。

白内障手術では、膨らんだ水晶体を取り除き、より薄い人工水晶体に置き換えます。これにより目の前方の空間が広がり、房水がよりスムーズに排出されるようになるため、眼圧が下がる可能性があります。
 

どのタイプの緑内障で術後の眼圧がより下がるのか?

白内障手術には眼圧を下げる可能性がありますが、緑内障のタイプによって術後の眼圧の低下幅は異なります。

王医師によると、閉塞隅角緑内障の患者はもともと眼内の空間が狭いため、水晶体を取り除くことで隅角の空間が広がり、眼圧が比較的大きく低下する傾向があります。

開放隅角緑内障の患者も恩恵を受ける可能性がありますが、低下幅はもともとの眼圧によって異なります。同医師の観察では、手術前の眼圧が高いほど、術後の低下幅が大きくなる可能性があります。一方、もともと眼圧が高くない場合や、正常眼圧緑内障の場合は、術後の低下幅は通常小さくなります。

また、落屑症候群緑内障を白内障と併発している患者では、白内障手術後の眼圧の低下幅が比較的大きくなる可能性があります。
 

白内障と緑内障は同時に手術するべきか?

王医師は、軽度から中等度の開放隅角緑内障の患者の一部では、白内障手術と同時に微小ドレナージデバイスを挿入し、房水の排出を助けることで、眼圧をさらに下げ、術後に使用する緑内障治療薬を減らせる可能性もあると補足しています。

5年間追跡したランダム化比較研究でも、白内障手術とマイクロステントを併用した患者では、術後に緑内障治療薬を使用する必要がなかった割合が66%で、白内障手術のみを受けた患者の46%を上回ったことが報告されています。

ただし、すべての患者に併用手術が必要というわけではありません。アメリカ眼科学会会員で、台湾の五福諾貝爾眼科院長を務める粘靖旻医師は、エポックタイムズの取材に対し、白内障と緑内障を併発している患者の中には、まず白内障手術を受け、その後の眼圧を観察する方法もあると話しています。術後の眼圧がすでに適切な範囲にコントロールされていれば、別途、緑内障の手術を行う必要がない場合もあります。

粘靖旻医師は、「『まず白内障を手術して、その後に眼圧を見る』というのは一般的な流れですが、状態は人それぞれです。緑内障のタイプ、視神経の損傷の程度、眼圧のコントロール状況などによって治療方針は変わります。まず眼圧を安定させてから白内障を治療する必要がある人もいれば、直接手術を行うのが適している人もいます。最終的には、一人ひとりの状態を見て判断する必要があります」と説明しています。
 

術後も眼圧の上昇に注意

白内障手術には眼圧を下げる可能性がありますが、術後の短期間には眼圧が上昇することもあります。

王医師によると、術後1~3日間は、特に眼圧の変化に注意する必要があります。手術中に使用する粘弾性物質や、術後の炎症反応によって、一時的に眼圧が上昇することがあります。緑内障が比較的重症で、すでに視神経に明らかな損傷がある患者では、眼圧が突然上昇することには特に注意が必要です。

術後の眼圧上昇は、長期的な影響につながる可能性もあります。ある研究では、白内障手術後の眼圧上昇が、その後に原発開放隅角緑内障を発症するリスクの上昇と関連していることが分かりました。

王医師は、必要な患者に対しては、医師が術前に炭酸脱水酵素阻害薬などの眼圧下降薬を使用し、術後に眼圧が急激に上昇するリスクを抑えることができるとしています。

もう一つ注意が必要な時期は、術後1~3週間です。白内障手術後は通常、炎症を抑えるためにステロイド点眼薬を使用しますが、一部の患者はステロイドに敏感で、眼圧が徐々に上昇することがあります。この場合、医師は状況に応じて薬を調整するため、術後も定期的に眼圧を検査する必要があります。
 

術後に眼圧が下がったら薬をやめてもいい?

白内障手術後、眼圧が大きく低下したとしても、緑内障患者が自己判断で眼圧下降薬の使用を中止してよいということではありません。

王医師によると、薬を継続する必要があるかどうかは、緑内障の重症度、術後の眼圧、そして患者が維持する必要のある目標眼圧などを踏まえて判断します。薬を減らしたり、一時的に中止したりできる患者もいれば、継続して治療する必要がある患者もいます。
 

白内障の進行を遅らせるにはこれらの危険因子を減らす

視力に影響する白内障に対しては、手術が主な治療法です。日常生活では、危険因子を減らすことから始め、白内障の発症や進行を遅らせることが考えられます。

王医師は、白内障の予防は若いうちから始めることが大切だと注意を促しています。屋外で紫外線が強いときは、UV400の紫外線防護機能があるサングラスを着用し、つばのある帽子も併用するとよいでしょう。強い光は水晶体の老化を早める可能性があるためです。また、喫煙を避け、血糖値、血圧、コレステロールを管理し、規則的な運動を心がけるとともに、目に衝撃を受けないよう注意することも大切です。目薬も自己判断で長期間使用せず、特にステロイドを含む目薬は、長期使用によって白内障の早期発症リスクが高まる可能性があります。
 

緑内障患者は眼圧の急上昇に注意

白内障の進行を遅らせることに加え、緑内障を併発している患者は、日常生活の中で眼圧を急激に上昇させる可能性のある動作にも注意する必要があります。

王医師は、緑内障患者は逆立ちや、腰を曲げて頭を下げる姿勢、重い物を運ぶこと、運動中に息を止めて力むことなどを避け、眼圧が短時間で上昇するのを防ぐよう注意を促しています。

突然、激しい目の痛みや目の充血、視力の低下が現れ、さらに吐き気や嘔吐を伴う場合は、急性閉塞隅角緑内障の可能性に注意が必要です。これらの症状は胃腸の不調と間違われやすいため、治療が遅れないよう、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
 

(翻訳編集 華山律)

王佳宜