バナナはカリウム、牛乳はカルシウム、ナッツ類はマグネシウムが豊富です。これらのミネラルはいずれも心臓の健康と深く関わっていますが、摂れば摂るほど良いというわけではありません。
心臓専門医と栄養士が、4種類の重要なミネラルが心臓にどのような影響を与えるのかを解説し、日常の食事でバランスよく摂る方法や、補給する際に特に注意が必要な人について紹介します。
ミネラルは多すぎても少なすぎてもよくない
台湾の宇平クリニック院長である劉中平博士はエポックタイムズの取材に対し、これらのミネラルの中でも、カリウムは心臓にとって特に重要だと述べています。正常な血中カリウム濃度はおよそ3.5~5.0 mEq/Lで、高すぎても低すぎても不整脈を引き起こす可能性があり、重症の場合は命に関わる心室性不整脈や心停止につながることもあります。
カルシウムは心筋の収縮の調節に関わっており、血中カルシウム濃度に異常があると、不整脈や心臓の収縮力低下を引き起こす可能性があります。
ナトリウムは細胞の内外を移動することで細胞膜の電位を変化させ、心臓の収縮に必要な電気信号の伝達を助けるとともに、体内の水分バランスにも影響します。ただし、摂り過ぎると水分が体内にたまり、血圧の上昇やむくみにつながる可能性があります。
2021年に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された1万人を超える人を対象とした研究では、ナトリウムの摂取量が多いことと、カリウムの摂取量が少ないことのいずれも、心血管疾患のリスクが高いことと関連していることが分かりました。
マグネシウムは心筋細胞の興奮性を調節し、正常な心拍リズムを維持するとともに、血管をリラックスさせる働きがあります。体内のマグネシウム濃度に異常がある場合も、不整脈を引き起こす可能性があります。
どんな人がミネラル不足になりやすい?
劉中平氏によると、高齢者は歯の問題や胃腸での吸収の問題などから、野菜や果物の摂取量が不足し、ミネラルが不足しやすい可能性があります。偏食の人や、野菜や果物をあまり食べない人も注意が必要です。
また、長時間屋外で仕事をしたり運動したりすると、大量に汗をかくことでミネラルが失われやすくなります。慢性的な下痢によっても、ミネラルが不足する可能性があります。
カリウム・カルシウム・マグネシウムは天然の食品から
台湾の可苡栄養相談センターの栄養士で、健康食品初級技術者でもある蔡宜方氏はエポックタイムズの取材に対し、日常の食事におけるカリウム、カルシウム、マグネシウムの主な供給源を紹介しています。
カリウム
植物性食品はカリウムの重要な供給源です。小豆、花豆などの豆類のほか、精製していない全粒穀物、タロイモ、ヒシ、ヤマイモなどからもカリウムを摂取できます。ホウレンソウ、ヒユナ、サツマイモの葉、空心菜などの濃い色の葉野菜も良い供給源です。果物では、バナナ、ジャックフルーツ、ドリアン、マクワウリ、キウイフルーツなどが挙げられます。
カルシウム
乳製品や大豆製品は一般的なカルシウムの供給源で、牛乳、乳製品、チーズのほか、凝固剤として硫酸カルシウムを使用した昔ながらの豆腐などが含まれます。ケール、カイラン、チンゲンサイ、青梗菜などの緑色野菜や、黒ゴマ、骨ごと食べられる小魚からもカルシウムを摂取できます。
マグネシウム
カボチャの種、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、黒ゴマなどのナッツ類や種子にはマグネシウムが豊富に含まれています。ホウレンソウ、ヒユナ、ケールなどの葉野菜や、昆布などの海藻もマグネシウムの供給源です。
体がミネラルをより有効に利用するために
ミネラルを豊富に含む食品を選ぶだけでなく、蔡宜方氏によると、食品の組み合わせや調理方法、日頃の食習慣も、体がミネラルを利用することや体内のバランスに影響します。
ビタミンDと組み合わせる:ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、体内のカルシウムバランスを保つのに役立ちます。卵黄や脂肪の多い魚にはビタミンDが含まれており、日光を浴びることでも体内でビタミンDを合成できます。
長時間の煮込みを減らす:ミネラルは煮る過程で水に溶け出す可能性があります。調理後に煮汁を飲まない場合は、蒸したり電子レンジを使ったりするなど、水をあまり使わない調理方法を取り入れることで、流出を減らせます。
精製糖を控える:添加糖を摂り過ぎると、ほかの栄養価の高い食品を摂る機会が減る可能性があります。スウェーデンの研究では、食事中の添加糖が多いほど、マグネシウム、カリウム、カルシウムなど複数の微量栄養素の摂取量が少ない傾向が示されています。
ナトリウムの摂取量を抑える:ナトリウムを多く含む食事は、尿中へのカルシウム排出量を増やし、体内のカルシウムバランスに影響する可能性があります。1日のナトリウム摂取量は2,300mgを超えないことが推奨されています。
食事を過度に制限しない:長期間にわたってケトジェニックダイエットや厳しいカロリー制限を行うと、野菜や果物、全粒穀物、豆類などの摂取量が減り、一部のミネラルが不足するリスクが高まる可能性があります。
心血管疾患のある3タイプの人は補給に注意
高血圧、不整脈、心不全のある人は、ミネラルの摂取について、病状や服薬状況、血液検査の結果も考慮する必要があります。劉中平氏は、それぞれについて以下のようなアドバイスをしています。
1.高血圧:ナトリウムを控え、カリウムを適量増やす
高血圧の人はナトリウムを摂り過ぎないようにし、野菜や果物などの食品から適量のカリウムを摂ることで、血圧の安定を保つのに役立つ可能性があります。
2.不整脈:大量に補給する前に血液検査を
野菜や果物を積極的に摂ることが勧められます。汗をかき過ぎたり、下痢をしたりして、体内の水分や電解質が失われた場合には、スポーツドリンクを飲んでミネラルを補給する方法もあります。
ただし、不整脈のある人では、ミネラルが不足している場合もあれば、過剰になっている場合もあります。そのため、カリウムやマグネシウムなどのミネラルを自己判断で大量に補給することは避けたほうがよいでしょう。大量に補給する必要がある場合は、まず血液検査で濃度を確認したうえで、どのように補給するかを決めることが勧められます。
3.心不全:ナトリウムとカリウムに注意
心不全の人はむくみが生じやすいため、ナトリウムの摂取に注意する必要があります。また、利尿薬による治療を受けている場合、カリウムの排出量にも影響する可能性があります。劉中平氏は、定期的に血液検査でミネラル濃度を確認し、その結果に応じて薬の使用や摂取方法を調整することを勧めています。
サプリメントも多ければよいわけではない
心血管疾患のある人に限らず、一般の人も自己判断でミネラルのサプリメントを摂取する場合は、摂取量に注意する必要があります。
約48万人を対象とした前向き研究では、カルシウムのサプリメントを習慣的に使用することが、より高い不整脈リスクと関連していることが分かりました。
蔡宜方氏は、サプリメントは必要な人がミネラルを補うのに役立つ場合がありますが、多ければよいというわけではなく、バランスの取れた食事の代わりになるものでもないと述べています。体が必要とする量を超えて摂取しても、必ずしもより大きなメリットが得られるとは限りません。単一のミネラルを長期間にわたって高用量で補給すると、ほかの栄養素の吸収に影響する可能性もあります。
(翻訳編集 華山律)
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