コーヒーの香りを嗅ぐだけで気分が向上? 研究で分かった意外な効果

多くの人は、特に早朝にコーヒーを飲むのが好きです。コーヒーに含まれるカフェインには覚醒作用があり、一日を気持ちよく始める助けになるからです。今回、新たな研究により、コーヒーを飲まなくても、その香りを嗅ぐだけで心身の状態が変化し、気分の向上にもつながる可能性があることが分かりました。

『Nutrients』誌に掲載されたこの研究では、日本の昭和薬科大学の研究者たちが、20~29歳の健康な成人20人を募集しました。内訳は男性8人、女性12人です。実験は2024年3月から2026年3月まで、同大学の実験室で行われました。参加者はウェアラブル装置を装着し、研究者たちは心拍数や脳波などのデータを測定しました。実験の前後には、参加者が気分状態プロファイルに回答し、自分の気分の状態を評価しました。

実験では、研究者たちが淹れたてのコーヒーを参加者から50cmの位置に置きました。参加者は普段どおりに呼吸し、コーヒーの香りを嗅ぐことはできましたが、飲むことはできませんでした。実験前には、研究者たちが実験室を換気し、室内にほかの匂いが残らないようにすることで、実験結果への影響を抑えました。

朝にコーヒーを飲むことは、現代人にとってごく一般的な朝の習慣となっている。コーヒーの香りは常に喜びをもたらしてくれる。(Shutterstock)
朝にコーヒーを飲むことは、現代人にとってごく一般的な朝の習慣となっている。コーヒーの香りは常に喜びをもたらしてくれる。(Shutterstock)

研究者たちは、参加者がコーヒーの香りを5分間嗅いだ後、気分が改善し、疲労、緊張、不安、悩み、憂鬱、落胆の程度も低下したことを見いだしました。複数の要因を考慮して補正した後も、これらの気分の改善は統計的に有意でした。

しかし、コーヒーの香りを嗅いでも、参加者の活力は明らかに高まりませんでした。ネガティブな気分の緩和と比べると、コーヒーの香りはエネルギーの向上とはあまり関係がないようです。

気分の改善に加えて、参加者は全体として、よりリラックスした状態になったように見えました。研究者たちによると、参加者の「リラックス指数」はわずかに上昇し、実験前の0.74から実験後には0.78になりました。

ただし、研究者たちは、リラックス指数の上昇がコーヒーの香りによる生理的な変化とどのように関係しているのか、まだ断定できませんでした。この指数は脳波(EEG)のデータに基づくもので、参加者の生理的なリラックスの程度を直接測定したものではないためです。脳波の指数は、アルファ波、ベータ波、シータ波の活動が占める相対的な割合に基づいて計算されます。

さらに、参加者の心拍数と心拍変動(連続する心拍の間隔が絶えず変動すること)には、有意な変化が見られませんでした。また、自己評価で気分の改善が最も大きかった参加者が、必ずしも脳波に最も大きな変化を示したわけではありません。つまり、参加者の気分の変化と、脳活動、心拍数、心拍変動の変化との間に、有意な相関は認められませんでした。

研究者たちは、この研究には限界があると述べています。主な問題は対照群が設けられていないことで、参加者の気分やリラックス状態の改善が、必ずしもコーヒーの香りによるものだとは断言できません。休息、効果への期待、実験室の環境への慣れなど、特定の要因に限られない影響も、こうした変化をもたらした可能性があります。

過去にも、同様の実験が行われています。2018年に発表された研究では、コーヒーの香りがある環境で分析的な作業を行った参加者は、より良い成績を収めました。コーヒーの香りによって自分の成績に対する期待が高まり、その結果はプラセボ効果に似た作用による可能性があると考えられています。

実験は実験ですが、実際の生活では、毎朝の朝食時にコーヒーを一杯飲むことが、現代人、特に会社員にとって朝の習慣の一つになっています。コーヒーの香りがもたらすリラックスした心地よさを楽しむために飲む人もいれば、心血管の健康を意識して飲む人もいます。コーヒーの健康効果を重視する人は、飲むタイミング、コーヒー豆の品質や焙煎方法、カフェインの摂取量や飲み方に加え、砂糖やミルクを加えず、できるだけブラックで飲むことなどにも気を配ります。

コーヒーが好きな人は、これからもコーヒーを飲み、その健康効果を楽しむことができます。ただし、注意したいのは、熱すぎるコーヒーを飲まないことです。最近の大規模な研究では、非常に熱い飲み物を頻繁に飲むことと、ある種の食道がんの発症リスクの有意な上昇との関連が示されています。淹れたての飲み物は、温度が下がってから飲むのがよいでしょう。

(翻訳編集 日比野真吾)

陳俊村