中国の軍事増強に警告=米中経済安全保障委員会議会報告
【大紀元日本11月30日】米シンクタンク「ヘリテージ財団」はこのほど、米国両院の超党派議員らが構成する「米中経済安全保障委員会」が発表した2006年議会報告書についてシンポジウムを開き、「米国防省のコンピュータシステムの殆どが、中国共産党から不法浸入されている」ことを明らかにした。同報告書では、特に中国の軍事増強の速度に対して、米側はコントロール困難に陥りつつあるという。
今回のシンポジウムに出席した同委員会の両岸軍事専門家は、米国防省は中共国防省の曹剛川長官をグアム島の軍事演習(ヴァリアント・シールド)に招き、対話による双方の猜疑を解消しようと試みたが、中共側の軍事力倍増の現状を変えることができずに、中共の軍事関連情報すら把握できなくなった現状を明らかにし、「我々は中共軍を過小評価している。中共海軍が各級潜水艦を保有していることを知り、驚愕させられた。演習前はまったく分からなかったことだ。注意してみて初めて分かった」と語った。
かつての冷戦時代に米軍首脳当局は、旧ソ連軍の高級将校を同じく演習に招き「暴発的接触」を避ける目的で軍事交流を行い、相互理解に努めた経緯があるが、毎年の急激な中国側の軍備増強に米軍側もかつて冷戦体制に逆戻りしたような観がある。中共軍の戦略目標と戦力の実数が「不透明なまま」増強され続ける昨今、米中間の唯一のセイフティーネットは、経済協力だけというのが現状だ。
一方、米中経済安全検査委員会のタネリー委員は、台湾の与野党間の争いが台湾海峡の安全をさらし、台湾海峡安全防御するための米側の経済負担が加重されたと指摘した。タネリー委員は、台湾の政党内争が進行している中で、中共を反撃し、または自己防衛する能力はあるかどうかは不明であるとし、台湾の軍事力強化の必要性を強調した。また、両岸の軍事的緊張を緩和させ、平衡を保つことと、万が一、両岸衝突が起きた場合、武力による問題解決に陥らないように米軍が十分な執行能力を発揮できることが重要であるとの見解を示した。
台湾海峡の安全保障については、北京五輪終了後の2008年には、中国海空軍の戦力が整備され「台湾侵攻」の緊張が頂点に達するとみられており、このため米国政府は、両岸の軍事的均衡を図るため、台湾政府に対し種々のハイテク兵器を装備するよう勧告してきた。これを受け、台湾国防部は1999年から「地対空ミサイル・パトリオット第三世代(PAC-3)」「P-3C対潜哨戒機」「ディーゼル潜水艦」を装備するべく、予算案を立法院に提出してきたが、「北京詣で」に執心の国民党勢力が障害となり、過去34回も否決され続け、本会期でも審議が見送られている。
中共海軍は現在、2008年から旧ソ連製空母「ヴァリアーグ」を海南島を母校として就航させる計画をもっており、実現するとその中距離核弾道弾と原潜能力とを合わせ、台湾海峡の封鎖作戦が実現化、海峡自体にかなりの圧力が掛かってくる。このため、台湾議会で本予算案が可決されない限りは、将来的に台湾海峡の軍事的均衡が崩れ、海峡の安全保障が不安定化することは必至で、中東からのシーレーンを生命線に持つ日本政府も、海自イージス艦等の海峡への派遣を可能にする「台湾特措法」を国会で審議する必要に迫られる日が、遠くない将来に来るかもしれない。