【季節のテーブル】正月の忘れ物「羽子板」

羽子板や ぬば珠の冬に 贈る幸

【大紀元日本1月25日】「天地玄黄」は中国の言葉です。天は玄(黒)く、大地は黄色。玄は奥深い闇です。大地の色彩が生まれる、根源の場所です。ぬば珠は、漆黒の闇にかかる大和の枕詞です。この漆黒の闇を、羽子板で突いて天に返します。何故そうするのでしょうか?

羽子板は古くコギ板(胡鬼板)と、呼ばれていました。羽子板は漕ぎ板です。何を漕ぐのでしょうか?あの世へ渡る舟を漕ぐのです。羽子板は舟の模型です。羽子板で突く羽根は、ムクロジという木の黒くて堅い種に、小鳥の羽根を取り付けたものです。黒い珠は天からやってきた印(祝福)です。

お互いの舟を上手く漕ぎ、天の祝福の珠を交歓しあうのが、羽子突き遊びの隠された意味です。突き違えて珠が大地に落ちると、豊饒をもたらす天の祝福を、人の手を介して大地は受け取ります。天の祝福を交歓しあう技であり、人が遊戯する喜びが大地を富ますという、儀礼的なメッセージを運んできます。

今年の正月のお空に、男の子達の凧が舞い上がっていました。女の子達が羽子板を翻して打つぬば珠の音は、ついぞ聴くことは出来ませんでした。天の祝福を受けずに遊ぶ子どもたちに、忘れ物を贈り届ける羽子板の幸は、いずこに仕舞い込まれたのか?果たして・・・。

(イザヤ・パンダさん)