農薬残留量増加で多動症のリスクが倍に=米・カナダ研究

【大紀元日本5月29日】 高濃度の農薬を使用して栽培されたブルーベリーやイチゴ、セロリなどの果物や野菜が、児童の注意力散漫や多動症(ADHD)のリスクを高める事が、このほど米国とカナダの研究により明らかになった。

一般的に広く使用されているマラチオン(malathion)などの農薬が、尿中から基準値以上に検出された児童や青少年のほとんどは、多動症、異常行動、学校の秩序や社会生活を乱すなどの問題が見られるという。

医学誌「小児科ジャーナル」(Journal of Pediatrics)に掲載された研究論文によると、1139人の8歳から15歳の児童の症例データを分析した結果、体内の農薬残留量が基準値より高い児童は多動症にかかる率が高く、そのリスクは体内に農薬が残留していない児童の2倍になるという。この研究を行なったカナダ・モントリオール大学研究員は、2倍のリスクは有意差が顕著であることを示していると指摘する。

また、食物は児童が農薬を摂取する主要なルートであり、その多くは果物や野菜からだという。08年に米国で行われた調査によると、28%のブルーベリー、25%のイチゴ、19%のセロリの中にマラチオンが含まれている。

現在市場に出回っている70%の農薬は有機リン系殺虫剤であり、昆虫の神経系統にダメージを与える一方、ヒトの神経系統にも影響を及ぼす。多くの米国国民の尿に、この殺虫剤の成分が含まれていると言われている。

この研究は、農薬が児童の行動に与える影響についての調査で症例数が最も多い。米国疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、現在米国では450万人の児童がADHDに罹っており、うち250万人が薬物治療を行っているという。

専門家は、予防のために果物や野菜を食べる前に良く洗うか、有機栽培の食物を購入するよう指導している。

(翻訳編集・市村)