「教師へプレゼントを贈る日」になった「教師節」 徳の積めない中国社会

【大紀元日本9月16日】9月10日は中国の「教師節教師の日)」。教師に尊敬の意を表し、感謝する日である「教師節」は近年、ただ「プレゼントを教師へ贈る日」となってしまった。ギフト券、ファッショングッズ、果物、チョコレート、などなど。プレゼント選びに夢中になる小・中学生とその親たちの為に、ギフトコーナーを設ける店さえある。

江蘇省で行われたある調査によると、[『教師節』にプレゼントを受け取った」と答えた小・中学校の教師は100%に達し、6割の生徒の親が「教師にプレゼントを贈った」と回答した。名門校と特進クラスでは、お祝いカードや生花のかわりに、現金やショッピングカードが流行っていて、今年の相場は500~1000元ほどだという。超富裕層は、電子辞書やデジタルカメラ、ブランドの腕時計を選び、中には自動車をプレゼントする極端なケースもあったという。

農村などの辺境地域を除く、内陸都市部の小・中学校の教師たちの一部は、エリートビジネスマン並みの高給を稼いでいる。彼らは通常の授業は適当に行い、給料の何倍も稼げる高い課外・補習授業のコマ取りに熱心になっている。

また、ここ数年来、教育界の収賄事件が多発している。2008年、広東省佛山市元教育局長の馮氏が双規※された。同年、広東省英徳市元教育局長の頼氏も収賄の罪で逮捕され、これにより「サービス料金(賄賂)」を受け取ったとされる100人近くの教育者の名前が明らかになり、その多くが自首することとなった。

中国の古典には、「師者所以伝道授業解惑也」(「師は道を伝え、業(ぎょう)を授(さず)け、惑(まど)いを解く所以(ゆえん)なり」)とある。しかし、今日の中国社会では腐敗が深刻に進み、この古語の意味を理解できる教育者は少ない。

「為人師表、教書育人」(人の師表となり、人を教え育てる)という教職者としての道徳基準を守れる人は、どれほどいるだろうか。汚れた金を手にする教師たちは「金を多く払う者が知識を多く手に入れられる」という理不尽なルールを作り、生徒たちの前に今日も立っている。

主流社会にいる者の行いが、社会環境の形成に大きな影響を与える。今日のように功利至上主義が横行する中国の社会環境の中では、教師たちは尊厳を失い、親たちは他愛のないプレゼント選びに頭を抱え、生徒たちの幼い心には、危険な腐敗した種が植えられてしまっている。

(※)双規:決められた時間と場所で、自分の犯した問題と罪に対する反省を行うこと。

(翻訳編集・李頁)
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